【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ28)

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丸一日眠っていた事もあり、夜通し起きて部屋の中を調べ回っていた私は、刑事ドラマを見ていて良かったと思いながら至る所に設置されていた盗聴器らしき物やカメラを一箇所に集め、浴槽に張った水の中に一気に放り込む。

窓から脱出する以外の方法をあれこれ試してみたものの、備え付けの電話はホテルのフロントに繋がったけれど、カイ君の……と言うより、このホテル自体が陽炎の息が掛かっている様で、外に連絡する事も部屋のパスワードさえ教えてはくれなかったのだ。

他に何が出来るのか。フロントに最早嫌がらせだと思われても仕方が無い程、電話を掛けまくり、食事や日用品などを試しに運んで来てもらったけれど、入口の横にある大きな鍵付きの窓からの受け取りになる為、隙を見て部屋から逃げる計画も潰れてしまったのである。

そうこうしている間に太陽が昇り始め、窓から射す光に目を細めた時、これまたとある刑事ドラマのワンシーンを思い出した。上手く行けばカイ君から携帯を取り返せるチャンスを作れるかも知れないと、早速テーブルやらソファーやらを可能な限り入口に立て掛けバリケードを作り、寝室からシーツを持って来て出来るだけ長く繋ぎ合わせる。

「それっぽいけど、流石に無理がある様な……」

取り敢えず、やるだけやってみよう。そう窓を全開にし、手摺にシーツを結び付けて下にそれを垂らす。後は隠れられそうな場所に身を潜めるだけだと、辺りを見渡していた時、入口の外側からパスワードを入力する機械音が聞こえ、慌てて寝室のベッドの下に潜り込んだ。

「おいおい……何じゃこりゃ」
「あははっ、Aちゃんってこういう事も出来るんだ」

ｶﾞﾁｬｯと扉が開いた音に「え、開くの……？」と、考え無しにバリケードを作っていた私は、扉が内開きでは無く外開きだったのだと、そこで漸く気付いてしまったのだ。けれど、それでも時間稼ぎ的な事は出来ているので問題は無いだろうと、ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬと物を退かす音に息を潜ませる。

「ったく、立て篭ったって意味ねぇーぞ？」

危害を加えるつもりは無いと言っていたけれど、流石に此処で見付かればどんな目に遭わされるか分かったものではないと、震えそうになる身体を無理矢理押さえ付けながら部屋の中に入って来たカイ君と青年をベッドシーツの隙間から覗き見る。