【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ15)

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【２０１】side無しページ15

―――太陽が真上に昇る正午、海岸付近をパトロールしていた轟、常闇、瀬呂、耳郎、障子の五人は街の内情とは裏腹に海水浴を楽しむ観光客達を見詰め「ヤバい薬が蔓延してるとは思えない光景だよね」と、口にする耳郎に同意する様に頷く。

依存性の高い非合法の薬が蔓延し、街の大半の大人、それもヒーローや警察を含む人間がその毒に魅入られ、本来の責務とは真逆の事を平然と行う街。故に、陽炎という子供だけで成り立つ過激派集団が生まれ、ヒーローや警察の代わりにこの街を守ろうと敵(ヴィラン)を駆除と称して殺害している。

現在、相澤とオールマイトの二人が他県のヒーローに応援を要請する為、この街を留守にしていた。二人が直接出向かない事には要請を受ける側も簡単には動けず、それ程までに厄介な案件と成り果てていたのだ。

ヒーローがヒーローを取り締まる。それもヒーローだけで無く、警察もそこには含まれる。それは今の社会情勢を鑑みれば、火に油を注ぎかねない行為だった。唯でさえ、人心が離れているにも関わらず、この様な案件が公になれば、間違い無く情勢は悪化の一途を辿るだろう。

それでもこの街の現状を見過ごす事は出来ず、相澤とオールマイトは明日には戻ると言い残し、生徒達に任せ、今朝方港町を立ったのだ。

「そう言えばさ、清水って今日は情報くれた子と遊んでるんだったよな？今も多分一緒だろ？合流してみっか？」

瀬呂の提案に相手の子供が応じるかは定かでは無いが、取り敢えず電話だけでも掛けてみようという話になり、我先にと彼女へと電話を掛け始めた轟に面々は思わず苦笑いを浮かべる。

「……ダメだ。出ねぇ」
「マナーモードにしてんのかもな」
「いや、それはねぇ筈だ。相澤先生に有事の際に直ぐ連絡が付くにしとけって言われてたからな」

今朝、彼女が旅館を出る際、相澤は念の為に直ぐに連絡が付く様にと告げていたのだ。その場でマナーモードを切っていた彼女が相澤の言い付けを破るとは思えず、轟は再度彼女へと電話を掛け続ける。だが、初めこそコールが鳴っていたそれは、途中から電源が入っていないとアナウンスされる様になり、次第に轟の顔が険しいものへと変わっていく。

それを見ていた面々は不意に浜辺に光る何かが目に止まり、瀬呂がそれを見に行った時「おい、これって清水が鞄に付けてたやつだよな？」と、餅をキャラクター化したキーホルダーを見付けたのだ。