【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ14)

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【２００】ページ14

真夏の太陽は私にとっては個性の源であると同時にある種の毒でもある。それは身体に悪影響を及ぼすという意味合いでは無く、オーバーヒートを引き起こすという意味合いで、襲い掛かってくる睡魔のせいで意識を保って居られなくなってしまうのだ。

遠退きそうになる意識の中、何とか帽子を返してもらおうとカイ君に手を伸ばすけれど、カイ君は「本当にこれが無いとまともに動けないんだ」と、私から帽子を遠ざけるばかりで、一向に返してくれる気配は無くて……

「カイ君……なんで、こんな事……」
「ごめんね、Aお姉ちゃん。全部、Aお姉ちゃんの為だから」
「私の……為？」

身体を支える事も出来無くなり、その場に倒れ込もうとした時、青年が「おっと、そろそろ落ちるか？」と、私の身体をまるで俵でも担ぐかの様に肩に乗せて歩き出す。

「カイ、念の為に携帯取っとけよ。ヒーローの卵に連絡されたら面倒だろ」
「分かってるよ。それより、ちゃんと部屋は用意してくれてるんだよね」
「ハイハイ、ちゃんと用意してるって。お前のお気に入りを閉じ込める檻だろ？」
「檻って言うな！俺は真面目にこの子が大事なんだよ」

朦朧とする意識の中、抵抗する力も気力も無くて、それでも何とか抗おうとショルダーバッグに手を伸ばした時、カイ君に「もう寝てて良いから」と、ショルダーバッグを奪われてしまう。その際、ショルダーバッグに付けていた焦凍君とお揃いのキーホルダーが取れてしまい、地面に落ちる。

乾いた音を立てて落ちたそれを見た途端、焦凍君に助けを求めたくて仕方が無かった。助けて、怖い。そうみっともなく泣いてしまいたかった。けれど、そんな思いとは裏腹に私の意識はそこで途絶えてしまう。

何処に連れて行かれるのか、お気に入りを閉じ込める檻とは一体何なのか。私の為だと言ったカイ君は、一体何を考えてこんな事をするのか。何も分からないまま、太陽の熱に晒された身体はオーバーヒートを起こす。

嗚呼……また、高熱を出してしまうのだろう。皆に心配を掛けてしまうのだろう。本当に私は……役立たずのお荷物だ。