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閉じていた瞼を開いて、見えない透ちゃんの顔を見上げると「ん?どうしたのー?」といつもと変わらない明るい声で僕の頬をフニフニと摘む透ちゃん。
「透ちゃん」
「んー?」
「…ありがと」
僕と友達になってくれて。このクラスで初めて出来た女の子の友達が透ちゃんで良かった。今では乳枕を鷲掴みにした事は良い思い出だよ。
「どったのー?急に」
「ううん、乳枕が心地良かったなぁって」
「もう〜!」
きっと、笑いながらも優しい眼差しで僕を見ているのだろう。そう言いながらも頬を撫でてくれる手は優しいままだ。
微睡みに浸る様に再び目を閉じる。
「ちゃんとした女の子友達、透ちゃんが初めてなんだ…だから……ありがと…」
ちゃんと最後まで言えただろうか。ちゃんと声に出ていただろうか。睡魔に勝てずに意識を手放した僕には分からないけど、透ちゃんが「ずっと友達だから安心してね」と言っていた様な気がした。
本当に…何処までも都合の良い考え方でごめん。だけど、都合の良い世界の中で…僕はその言葉を信じて前に進むよ。
暗闇の中で淡く光る灰色の光に縋る様に、眩い白に背を向けて黒に限り無く近い、灰色の世界で僕は生きる。
きっと、寂しくなんか無い。僕には死柄木さんや黒霧さん、それから先生だって居てくれるのだから。
だけど…これっきりで構わないから、最後に友達に甘えさせて。
幼馴染みでも、ヒーローでも無い…僕の日向の友達に。
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パル(プロフ) - ウサギさん» コメント有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです!1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ノ)ノ有難う御座います!!(><)これからもダラダラとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パル | 作成日時:2018年5月22日 20時