２０４ ページ17
椅子を蹴り飛ばしたり、テーブルをひっくり返したりと…兎に角散々暴れ回った僕は改めて目の前に広がる荒れた室内に「あ……」と呟き、冷静さを取り戻す。
やってしまった……これはあれだ、所謂賢者モードというやつなのかも知れないと、一目で暴れたのだと分かる部屋の有様に「はぁ…何やってんだろ…」と転がった椅子を手に取る。
すると、ｶﾞﾁｬ…と控え室に入って来たお茶子ちゃんと目が合ってしまった。
「え…？どうしたん？これ…」
「あー…うん、ちょっと…その、苛々してまして……あれだよ、あれ。ついカッとなってやりました」
椅子を掴んだままの態勢で話す僕にお茶子ちゃんは小さく笑うと「手伝うよ！」と一緒に片付けを手伝ってくれる。
「おめでと！Aちゃん」
「うん…」
「嬉しないん？」
「いや？嬉しいよ。ただ…納得出来る試合じゃなかった」
あんな勝ち方をしたかった訳じゃない。あれはただ、飯田に八つ当たりしたに過ぎない。試合に勝つ。確かにそれを達成する事が目的だが、飯田に翻弄されるならまだしも、僕は飯田とは全く関係の無い、それこそ私情で戦っていた。
試合に集中など出来ていなかった。
「…デク君が心配しとったよ」
「…だろうね。勝己は苛々してたんじゃない？」
「うん。あんな、Aちゃん。…手心を加えてたとかじゃないんやんな…？」
「…手心なんて加えてる余裕なんか無かったよ。だけど、飯田には悪い事をしたと思ってる。…僕は、試合に集中してなかったんだ…」
ある程度、元通りになったテーブルに腰掛けて「ねぇ、お茶子ちゃん……大切な人って何？」とオールマイトの言葉をなぞる様に問い掛ける。
「え？」
「…家族？友達？それとも…その、好きな人って奴…？」
年頃の女の子がする様な話題を自分から切り出して置いてあれだが…恥ずかしい。まさか、そんな事を聞かれると思っていなかったのか、お茶子ちゃんはﾎﾟｶｰﾝ…としていて「あ、やっぱ何でも無いです…」と顔を背ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パル(プロフ) - ウサギさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです！1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ﾉ)ﾉ有難う御座います!!(><)これからもﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パル | 作成日時：2018年5月22日 20時
