※不安を打ち消す方法【dr】 ページ7
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(dr side)
『もう、あわへんわ』
そう通話ではなく珍しくメールが来てからというもの、Aと連絡が取れんくなった。
「え、どういうこと……？俺、なんかしたんか……？」
いくら考えても答えが出ることはなく、俺は堪らず自宅を飛び出した。
ー ピンポーン ー
『あい……』
「Aっ……！」
『ん、だる？今、開ける……』
二度目のインターホンを鳴らすと、気の抜けた様な声が聞こえてきた。
俺が思わず名前を呼ぶと、しばらくしてカチャリと鍵の開く音が聞こえた。
俺は扉が開くのも待ち切れず、鍵の開いた音と同時に勢い良く扉を開いて目の前にいたAを抱き締めた。
『うぇっ？！な、なにごと……？』
「お前っ……もう会わんってなんやねん。」
『んえ？オレそんな事……あ、もしかして……』
Aはそう言うと、俺を押しやって部屋へと入っていった。
俺は慌てて靴を脱いでAの後を追った。
『あぁー！ごめんごめん、おかんと間違えてたわ。』
「……え？お袋さんと会わんとか、喧嘩でもしたん？」
『ん？あぁ、ちゃうちゃう。スーツの話やで。送ってきてくれたスーツのサイズが合わんよって話。』
「はぁー…………お前さぁ……」
『なになに？』
あっけらかんと話すAに、俺は思わず膝から崩れ落ちた。
『だるま？』
同じようにしゃがみ込んで、心配そうに俺の顔を覗き込むA。
ほっとして涙腺が緩むのを誤魔化すように、Aを思い切り抱き締めた。
そして、不安だった気持ちを打ち消すかのように胸いっぱいにAの匂いを吸い込んだ。
「連絡、ちゃんと出てや。」
『ごめん、爆睡してた。』
「そうか、まぁ寝る子は育つって言うからなぁ。しっかり寝えや。」
『うん、やから寝てたんやて。』
くつくつとAが笑う振動に心地良さを覚えながら、そんな他愛のない話を抱き合いながらしばらくしていた。
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作者名：手羽先の手先 | 作成日時：2024年9月18日 20時
