【pkmn】冠雪原の彼女と僕 3 【デント】 (ページ31)

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第百十七話　どくのトゲページ31

No SIDE

デント「嫌な音だっ？！」

フシデの嫌な音は
水路内を反響して威力は増し

Aたちの鼓膜を刺激する

アーティー「僕たちを警戒している？！」

サトシ「やめてくれ！！フシデ！！」

「っ…ﾌｼｬｰｯ…」

耳を塞ぎ耐えていると
先に力尽きたのはフシデだった

嫌な音をやめると

辛そうにその場に伏せてしまった

そしてよく見るとフシデの背中には怪我が見える

『お前、怪我してんのか…』

「ﾌｼｬｰｯ！！」

デント「危ない！！反撃するぞ？！」

アイリス「A！！やめて！！」

Aが近づくと
フシデは触覚を揺らし威嚇をするが

Aは離れようとはしなかった

『…怖いよなぁ、知らないやつに囲まれて

でも、みんなお前の味方なんだよ

その怪我も治してやりたいと思ってる

だから「ﾌｼｬｼｬｯ！！」』

【ドスッ】

『うぐっ？！』

アイリス「きゃっ？！」

デント「Aちゃん？！」

フシデはデントの予想どうり
警戒し近づいたAめがけ

額に体当りをくらわせた

弱っているとはいえ、相手はポケモンだ

威力はそれなりにある

しかし、Aは攻撃を耐えきり
フシデを受け止めると

フシデの顔を覗き優しく笑った

『…怖くない…怖くない

怪我を治すだけ、お前に痛いことはしないよ』

「ﾌｼｬ…」

子供をあやすように優しくフシデを抱き抱えると
フシデは抵抗をやめジッとAを見つめた

気持ちが伝わったのか

敵意がないと気づいたのか

フシデの興奮状態は少しずつ収まっていく

『お前はいい子だね…賢い子だ…』

「…ﾌｼｬｰ」

そして落ち着いてきた所でAは
キズぐすりを取り出した

が

【カタッ】

手に持っていたキズぐすりを落とした
と同時にAの視界が歪み始めた

『(な、なんで…
毒を食らわないように手袋してたのに…)あ…やべ』

【ドサッ】

デント「Aちゃん？！」

そこでフシデの体当たりで額で
触れたことを理解しそのまま倒れ込んだ

『ぁ…ぅ…』

サトシ「おい！！A！！しっかりしろ！！」

倒れたAの顔は青ざめ
呼吸が乱れていく

その様子に皆慌てて側に駆け寄るが
意識は薄れ返事はない

デント「毒にやられたんだ！！」

アイリス「毒消しがあれば…！！」

デント「確かあったはずだ！！」

歪む視界、そして薄れる意識の中
ぼやけた声だけが聞こえ
Aはそのまま意識を失った