第百十一話 恩人への敬意 ページ25
No SIDE
アイリス「な、なんなの…これ」
デント「っ…」
少し離れたデントたちの位置からでも
Aのピリピリとした空気は伝わってきた
シューティーの時とは比べ物に
ならないほどに怒り狂っていた
『…ほら次のポケモン出せよ』
カベルネ「き、今日は…この子たち…だけで…」
『なら他のを連れてこいあれだけ馬鹿にしたんだ
私に勝てるくらいには強いんだろ?
2敗したくらいでなにビビってんだよ
なんなら元気の塊か復活草やるから
もっかいバトルやろうや
ソムリエール?』
口元だけ歪ませて
カベルネに詰め寄ると
ワッと喚くようにカベルネは叫ぶ
カベルネ「っ…わ、私の負けよ!!
負け負け!!負けよ!!
これでいいでしょ?!勝敗がついたんだもの!!
これ以上バトルする理由なんて!!」
『は?』
カベルネ「ヒッ?!」
Aのドスの効いた声に
カベルネは肩を震わせた
その怯えようから、よっぽど
バトルで痛めつけられたのだろう
カベルネの目は完全に怯えきっていた
しかし、Aは許すこなく止まることはない
『…理由?それ…私に聞くの?』
クスクスっと笑うが
目は完全に笑ってはいない
光は消え、完全に黒く濁った色をしている
『師匠は…
ロウさんは血の繋がりもないこんな
クズみてーなのを嫌な顔せず育ててくれた…
お人好しで
過保護で
誰よりも強い…ジムリーダーだ』
デント「Aちゃん…」
『そんなあの人を馬鹿にしやがって…
テメェ、ただで済むと思うなよ』
カベルネ「っ…」
詰め寄るAを
ルカリオはただ見つめていた
普通の喧嘩なら止めに入るが
師匠ロウに関しては何をしても止められない
長年一緒にいたからこそ
ロウがどれ程の存在かわかっていた
誰にも止められやしない
そう思っていた
だが
デント「Aちゃん!!」
【ぎゅっ】
『っ!!』
ルカリオの横をすり抜け
デントがAを静止しようと抱きしめた
『…なんだよ…離せよ…』
デント「離さないよ」
『離せよ!!』
デント「離さない!!
今のAちゃんは…
僕の好きなAちゃんじゃない!!」
『っ…』
デントの一言に
暴れていたAの動きが止まった
しかし良い方には転ばなかった
『…なにも知らないくせに!!』
デント「あっ?!Aちゃん!!待って!!」
デントの腕をなんとかすり抜けると
呼びかけにも応じず
そのまま林の方へ走り去ってしまった
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作者名:ラム酒 | 作成日時:2022年9月26日 3時