夜の世界の殺し屋たち。 (ページ42)

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【樹】

俺が廃倉庫の近くの道路で車を停めていると、一人の組員が車の方にやってきた。

組員「組長だけでも逃げてください！倉庫にとんでもねぇ奴らが乗り込んできました！早く！」

組長「とんでもねぇ奴ら？誰だそいつは？」

組員「わかりません。でも組長にまで被害が及ばないように僕らがここでやってきます！」

．．．.予想通り。組員はそれだけを組長に伝えるとすぐさま倉庫の方に戻っていった。

組長「何をやってるんだ。今すぐ車を出せ。」

俺は組長の声を無視し、さっきの組員がここから見えなくなったことを確認する。

組長「おい！聞いてるのか！私の命が危ないんだぞ！早く出せ！」

樹「．．．.組長、ちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですか？」

組長「なんだ、こんな時に。早くしろ。」

樹「田中樹、って男知ってますか？あなたの記憶にある彼はまだ未成年だった頃でしょう。」

組長「そんな男の名前は聞いたことない。だから、早く車を出せ！」

樹「．．．.そうですか。それは残念です。あなたの目の前にいる男が田中樹本人だとしても？」

俺はそう言いながら後部座席に座る組長に運転席から後ろを向いてナイフの刃を向けた。

組長「お前っ、」

樹「ようやく思い出してくれました？小さい頃、あなたに可愛がってもらってた田中樹ですよ。」

俺はニヤリと笑って運転席を出て後部座席、つまり組長の隣に座りなおした。