5.取捨選択＿スクアーロとティッツァーノ ページ9
｢…｣
｢…｣
無言で見つめ合う二人の男。その間に挟まれる少女。
｢ちょっと〜…｣と声をかけても、目の前で手を振っても、二人は微動だにしない。
｢…Aと任務に当たるのはオレだ｣
｢いや、違うね｣
言い合っているのは、Aの仲間であるスクアーロとティッツァーノ。普段は手を取り合って行動する、心を許した仲間なのだが。
“Aとどちらか一人で任務に当たれ”とボスから命令されると、必ず睨み合いが起こる。
大抵は順番にAと当たるのだが、何せ前回の任務から相当な時間が経過してしまっているので、前回一緒に行動したティッツァーノは｢時効が切れた｣と、スクアーロは｢順番通りに｣と、よく分からない論争を繰り広げることになった。
｢Aはどっちがいいんですか？｣
｢え？え？私？？｣
突然、ティッツァーノに話を振られ、Aはあわあわと動揺する。
｢おい、困っちまってるじゃあねぇかティッツァ。Aはオレと組みたいんだよ、な？｣
そう言って、スクアーロは強引にAの肩を抱く。それをみて、ティッツァーノは露骨に顔を顰めた。
｢…わたしは、どちらでもいいですよ｣
｢てぃ、ティッツァ？｣
突然、先程までの威勢が嘘のように、ティッツァーノがしおらしくなる。
｢Aを困らせたくないので｣
｢なぁッ……｣
その一言を聞いて、スクアーロの動きが固まる。バッと肩から手を離し、Aは自由になる。
｢そ、そうだな…Aに迷惑をかけることになるからな…｣
スクアーロは視線の定まらない眼球をくるくる回しながら、そう呟く。
｢Aに任せます｣
｢お、おう…｣
二人はそう言ってAを見つめる。
またあわあわと動揺するA。
｢えっと…うーん……｣
Aはしばらく考え込んだ後、顔を上げて苦笑いを浮かべた。
｢どーせボスは私たちのことを見てないわけだし…三人で行動したってバレないんじゃないかな？｣
えへへ、と笑うAを見て、二人は顔を合わせる。
そしてクスッと笑った後、スクアーロはAの手を取って走り出した。
｢置いてくぜティッツァ！！早く来いよォー！｣
｢待って下さい！置いていかないで！｣
楽しそうな三人の声が、真昼の空に響いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
東雲(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます！！これからもよろしくお願いします！ (2019年6月4日 0時) (
レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 好きです。頑張ってください! (2019年5月15日 11時) (レス) id: cff6354fff (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - あいすすとろべりーさん» こんにちは！いつもリクエストありがとうございます！了解しました！気長に待ってくださると嬉しいです！ (2019年2月26日 11時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
あいすすとろべりー(プロフ) - リクエストでブチャラティが最近仕事が忙しくて疲れて夢主ちゃんに甘えるっていうやつが見たいです！お願いしてもいいですか？ (2019年2月26日 7時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 蛍雪0808さん» こんにちは！いえいえ！！いつもコメントありがとうございます〜！！喜んでいただけて嬉しいです(*^^*)これからもよろしくお願いします！ (2019年2月11日 17時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲 | 作成日時：2018年12月31日 15時
