好きだけじゃ、超えられない壁がある2 【坂田銀時】

52話 ページ8

…驚く程に普通に飲んでいるだけの羽山と春雨。世間話のようなものを繰り返すだけでなんの情報も、なんの取引内容も手に入らない。

一周まわって、こいつらただの仲のいい友達なんじゃないかってくらい普通。真選組の情報を疑ってしまいそうだ…。



｢地球では最近寺門通っていうアイドルが流行っとるんですよ｣


｢寺門通…？？聞いたことがないが…。それほど魅力があるのか？？｣




なぜ、寺門通の話！？とツッコミを入れたくなるような気分だ。攘夷志士ってアイドルすきなんだネクロマンサー。…じゃなくて！！！私はだんだん危機を感じ始めている。


もしもこのまま平和に酒を飲んで終わりとなったときが怖いのだ。本当にこいつらが薬の売買に関わっているのなら、これからも薬は江戸に広まってしまう…。そんな最悪の事態が怒り得るから真選組にできるだ情報を伝えたいのだ。


(…少しづつ聞き出すか)


｢旦那方、ここは吉原にございます。アイドルの話題などよりわっちらと遊んでくんなまし。｣


｢…ほう。楽しませてくれるというのか？｣


｢わっちはお筝を弾くのが得意でありんす、是非旦那方に聞いていただきたい｣



私の作戦はこうだ。お筝を演奏し、少し気が緩んでいる間に｢旦那方のお仕事は何か？｣と質問を投げかける。酔っているこいつらなら気さえ緩めば色々と情報を漏らすはずだ。



幼い頃少し習っていた甲斐があった。手が覚えているからなんとか弾けている。



｢中々の腕だな。酒が進むよ｣


羽山はそう言うとまた酒を追加注文した。


(…もっと酔え)


そう願いながら、お筝を私は弾き続けた。

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