好きだけじゃ、超えられない壁がある2 【坂田銀時】

54話 ページ11

受け止めたくないが、受け止めるしかない。だんだんと冷静になてっいく頭で自分に起きた事態を受けいれられた。


着崩れた服を直し、涙を拭く。泣いたって、落ち込んだって変わらない事実だから。もう、何も戻らないと知っているから。



｢…月詠。今見た事は忘れて｣


｢！？何を言っておるんじゃ！！今すぐ真選組か、銀時に…！！｣


｢だめ！！！！！！！｣


｢なぜじゃ！！そなたは傷つけられたのだぞ！？｣



優しいあの人達なら、翠強党をまだ倒すときではないのに私なんかのために動いてしまう。そして、命を失う人や傷つく人がいるかもしれない。


…それだけじゃない。知られたくない、こんなこと。自分が汚されてしまったことを。


｢お願い月詠。私は大丈夫だから…｣



きっとぎこちない笑見だろうが、つくよに笑いかけるとそれ以上は何も言わなかった。



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月詠にお願いして、シャワーを借りる。1人になる時間と、ベタつく体を洗い流したかった。


不幸中の幸いといったところか、薬による依存やその他の症状は見られず体自体は元気だ。


(…真選組になんて報告しよう)


普通に元気だから顔は出せるけれど、どこからどこまでを報告すればいいのやら…。









…なんて、頭の中でほかのことを考えようとしているが実際頭の中を占めているのは先程の記憶だった。



ここは吉原なのだからそういう事態が起こっても仕方がない場所で、油断した自分が悪いのだ。情報を得られたことで、浮かれ調子づいた自分の責任だ。


真選組や吉原を責めるつもりは毛頭ないが、この悲しみや辛さをぶつける場所が欲しかった。それらをぶつける場所があるのなら、幾分か気持ちは楽になっていた気がする。


全てを流し去るようにシャワーの水を自分へとかけ流した。

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