波瀾万丈という言葉では足りないほどの激動 ページ37
〜竜胆side〜
焼けるような、引きちぎれるような、尋常でない鋭い痛みが、足のつま先から頭のてっぺんまでの全身を襲う。
研究員の言った通り、いや、それ以上だった。
今までの比じゃない。
しかし、もはや夜兎並みの強靭な体になった私は、普通の人間なら一瞬で消滅する高エネルギーに、耐えることができた。
大型船が沈没するような轟音と共に、高エネルギー体に飲み込まれる私を揺さぶるような衝撃が襲う。
予想外の反応に周章狼狽する研究員達の喚き声が微かに聞こえる。
すると突然、ガラスが弾き割れたような破砕音が耳を劈いた。
─────────────────.......
うぅ、と男のうめき声が意識のどこかで聞こえる。
細かい破片の屑の上で倒れた私は何とか体を起こし、しんとした静けさの中、頭を抱えた。
(......い、生きてる.......私、まだ生きてる..........)
自分が生きていることに安堵すると、直ぐに辺りを見渡した。
(うそ......)
煙が揺らめく中、研究員は諸共気絶して倒れ、両方のカプセルが破壊して破片が至る所に落ちていた。
機械には緑色のランプが点灯しており、白い文字で『SUCCESS』と表示されていた。
状況を瞬時に把握した私は脱出を決意し、よろめく足に鞭を打ってこの真っ白な空間から飛び出した。
脱出経路を模索しながら逃げる途中で、別の宇宙船(貿易船)と繋がるゲートを見つけ、山のようにある物資の木箱の一つに入った。
そのまま上手く乗り込んだ事を確認すると、色んな思いが押し寄せた私は、しばらくその木箱の中で嗚咽を押えながら涙を流した。
こうして私は最悪で最大の実験を最後に、13年間の人体実験の日々に幕を閉じた。
＊＊＊
眩い光が瞑る瞼越しに降り注ぐのを感じた。
随分長い眠りについていたのか、さなぎから羽を広げる蝶のように、久しく瞑っていた瞼をゆっくりと開けた。
眩い光はやがて視界と呼べるほど鮮明な映像を映し出した。
すると木箱の外は案外暗がりである事が分かり、
そんな外部から私を屈んで覗き込む三人の人影と、立ったまま見下ろす一人の人影がある事に気付いた。
見下ろすその隻眼は、鋭い眼光を光らせながら訝しげに私を見据えていた。
見覚えがある面影に、
私は無意識にその男の名を口にした。
「晋助くん.......」
呟くと、冷然とした男の瞳孔が、微かに揺らいだ。
君にとっては一瞬でも、僕にとっては永遠に思えた瞬間だったんだ→←死んで解放されても、死んで失うものがある
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紅狼 - とても良い作品でした！！続きがめちゃ気になります！！更新頑張ってください！応援してます！！！！！！ (1月8日 1時) (
レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです！！続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした！！！続き楽しみにしています！ (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです！ (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです！！ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと丸 | 作成日時：2019年10月1日 3時
