それは、天秤にかけるまでもない事だった ページ31
〜竜胆side〜
私は、その後、グアルの予想を裏切り、最初の実験を成功させてしまった。
何度も死にかけたが、神様が意地悪く何度もこの世に押しとどめて、結局今も尚息をしている。
拒絶反応は何度も見せたが、ついに高エネルギーが体に奇跡的に融合し、かなり強い体になったらしい。
強いというのは、忍耐力であり、免疫力であり、戦闘力もまた然りだとか。
地球人が人工的に力を取り入れたのは私が初めてらしく、それからも研究員たちは意気込んで私に実験を繰り返した。
苦痛を苦痛で重ねる日々だったが、私は耐えることが出来た。
普通ならもう死んでもおかしくない実験でも私は死ななくなってしまった。
最初の実験が成功したことが原因だろう、その時点でもう普通の人間では無くなってしまっていたのだから。
そしてある日、遂に我慢の限界に来た私は、宇宙船を脱出しようと試みた。
あと一歩で脱出できるというとき、研究員が交渉を持ち込んできた。
「お前がここで大人しく戻れば、吉田松陽と、その弟子の子供たちの身を護ると誓おう。奈落に殺すなと伝えておく。」
「でもお前が逃げれば、殺してもらうつもりだ。」
迷うはずが無かった。
エスケープ用の機体の操縦席から身を乗り出すと、大人しく機体から降りた。
「絶対だから、先生と皆に傷一つ付けないと約束して。」
「ああ、もちろん。約束しよう、その代わり、」
にやりと不敵な笑みを浮かべて男は続けた。
「彼らの記憶から君を抹消させてもらう。」
「な、何でそんなことする必要があるの!」
予想だにしなかった言葉に声が力が込もる。
「君を助けにここまで来られたりしたら、私達が迷惑だからだ。まあ宇宙の彼方にいるわけではあるが、万が一のためにな。お前はもう他のどの被検体より特別なんだ。」
しばらく私は思考を巡らせた。
(先生や銀ちゃん達の中の私が消える.....
私と過ごした日々がなかったことになる....
嫌だ、そんなの、嫌に決まってる
でも、
でも、
皆が死ぬのはもっと嫌だ。
忘れられるより、ずっと嫌だ。
私は、
皆に生きていてほしい。
いつか地球に帰った時、
おかえりと言われなくても、
元気そうにしてる顔さえ見れたら、
ああ、うん、
私はそれで十分だ。)
葛藤に蹴りをつけ男の元へと歩み始めると、男は鼻で笑って言った。
「賢明な判断だ。」
怒りのバロメーターの限界は未知数→←心残りというものは一体何トンあることやら
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時