慣れほど恐ろしい能力はない ページ28
〜竜胆side〜
(どうしよう.....私のせいで、先生が捕まっちゃう.....)
冷静になったと同時に焦燥感に襲われ始めた私は、
ゴーという機械的な音だけが聞こえる静寂な牢の中でひたすら自分を責めていた。
(ていうか、本当に、先生を人質にして何するっていうの.....もう！！先生が何したっていうの！！！)
拭いきれない疑念をまた蘇らせた時、蛙に似たさっきの天人の顔を思い出した。
(そう言えば、村を焼かれた日以来だったな、天人を見たのは.....
いつだって諸悪の根源は天人ってわけ？
松陽先生まで傷付けたら、絶対に絶対に許さない....死んでも死にきれない。)
あの夜のトラウマまで蘇ろうとしたため、頭を振って別の事を考えることにした。
(みんな心配してるだろうな....銀ちゃん....晋助くん....小太郎くん.....先生..
怖いよ...
私これからどうなっちゃうの..
先生......松陽先生...
会いたいよ.........)
またぐわりと歪む視界に己の弱さを思い知る。
時間の経過が分かりずらい閉塞的な空間に体が悲鳴をあげる。
気持ち悪い、何とも言えない圧迫された感覚、
ここがどこなのか、嫌でも予想がつく。
(もし先生が算段通り捕まったら、私はそのあとどうなるんだろう....
この宇宙船で殺されるのかな....
先生の顔を見れずに死ぬの？
それだけは勘弁だなぁ.....)
私は呑気なのか現実逃避なのか、漠然とそんなことを思った。
────────────────......
「ほら、飯の時間だ。」
不本意ながらも見慣れてしまったグアルという名の蛙に似た天人が、今日も私の食べ物を持ってきた。
鉄格子の間からいつものようにコンビニ袋に入ったパンと牛乳を差し出し、私はそれを器用に拾い上げ食べ始めた。
「なぁ竜胆、君はここに来てどれくらい経ったと思ってる？」
突然の質問に瞬きを繰り返すも、適当に答えた。
「一年くらい。」
「君の体感速度どうなってるんだ、宇宙船だがここは一応地球の大気圏だぞ。宇宙空間ならまだしも。まあいい、正解は１ヶ月だ。」
「１ヶ月....まだ１ヶ月しか経ってなかったんだ。」
安堵の溜息を漏らすと、グアルは妙に真剣な面持ちで話を続けた。
「１ヶ月も経ったんだぞ、分かってるのか？吉田松陽がようやく人質として捕らえられたんだ。」
ﾎﾞﾄｯ
牛乳パックが手から滑り落ちて、そこからゆっくりと牛乳が地面に広がっていった。
言葉と行動が矛盾する奴には気をつけろ→←折り返しのない片道地獄船
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紅狼 - とても良い作品でした！！続きがめちゃ気になります！！更新頑張ってください！応援してます！！！！！！ (1月8日 1時) (
レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです！！続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした！！！続き楽しみにしています！ (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです！ (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです！！ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと丸 | 作成日時：2019年10月1日 3時
