染み付いた色は簡単に拭えないどころか、滲んで広がってゆく ページ20
〜銀時side〜
まもなく玄関を開く音が聞こえ、新八の声が飛んできた。
「ただいまー」
「「ぱっつぁん!!!」」
不安も懸念も食欲には勝てず、帰ってきた新八の手にあるビニール袋に飛びつく俺達。
「こ、これは!!」
ビニール袋に入っていたのは、
潰したら四分の一の大きさになるような発酵しただけのスポンジ食パンではなく、重ねられた弁当だった。
「お登勢さんにちゃんとお礼言うんですよ、僕らのために、いや、Aさんのために今晩のご飯奢ってくれるんですって。」
「キャッホイ!!Aさまさまアルな!!早く食べるアルテメーら!!!」
弁当を目にした瞬間さっきまでの悩みはすっ飛んだのか、目の色を変えてはしゃぎ始めた。
「でもこれ弁当六つもあるじゃねーか、何で?」
「今晩は決戦になるかもしれないから、体力万全にしろってお登勢さんが。」
「ババア...」
下の階で煙草を吸うババアの面をしみじみと思い浮かべた。
「早く食わねーと食う前に襲われるアルヨ銀ちゃん!!!」
居間で叫ぶ神楽の声は、既に口に食べ物を含んだ声だった。
「あっいつの間に!!」
気付けば新八の両手からビニール袋が消えていた。
「じゃあ有難く頂くとするか、」
「はい!!」
そう言って俺達は一つ目の弁当を空腹を満たすため食い、二つ目の弁当は味わって食った。
余ったもんは全部神楽が食った。
いや、余ったもんだけじゃなかった、まだ食べてる最中でも盗み食いしやがった。
こうして連続殺人犯との決戦に控えて万全な準備を整え、
満腹になって睡魔が襲う中、必死にお互いを殴って目を開いて待機したのだった。
─────────────────.....
目を覚ました。
覚ましちまった。
目を覚ましたということは寝てたという事だ。
(俺、もう死んだかな...)
再び閉じた瞼を開いた。
あーあ、こいつらも寝ちゃってるじゃねーか。
どうやら昨日の夜は運良く来なかったらしい。
机に空の弁当が積み重なったまま置いてある。
とんでもない寝相で寝ている二人。
コイツらが無事だった事にまず安堵し、時計に目を向ける。
まだ5時を指す短針。
窓や玄関はもう薄明るい紫色が覆っていた。
『銀さん、もう朝ですよ。』
ふと、優しく声をかけるAの顔が浮かんだ。
どうやらAの存在は少なからず俺の日常になってきてたらしい。
しばらくその柔和な笑みが頭から離れなかった。
人間落ち着きが一番肝心だよっておばあちゃん言ってた→←肝心な事は肝に銘じるより手の甲にでも書いとけ
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のと丸(プロフ) - ジャスタウェイさん» ジャ、ジャスタウェイさん...!初めまして!!お褒めのお言葉誠にありがとうございます!!更新頑張ります〜(●´▽`●) (2019年8月13日 20時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
ジャスタウェイ - とても面白いです。ぜひ更新頑張ってください。 (2019年8月13日 19時) (レス) id: f6013c941d (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» みぃさんこんにちは〜!!超特急で帰ってきてしまいましたね笑応援ありがとうございます!!(●´▽`●) (2019年8月9日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - こんにちはです!帰って来るの待ってました。これからも頑張ってください! (2019年8月9日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - シルバさん» コメントありがとうございます!!すごくすごく嬉しいです!!。゚(゚^ω^゚)゚。更新停止と宣っておきながら、結局更新再開することになってすみません(TT)節操なしの作者ですが、何卒宜しくお願いします!<(_ _*)> (2019年8月9日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月28日 17時