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あの晩何があったのかという話 【中編】 ページ15

〜神威side〜



すかさず現場に向かうと、飛び散った血が着いた壁の下に惨たらしい死体が崩れ落ちていた。



「へぇ、やるね!」


素直な言葉を漏らすと、背後に立っている俺に気付いた"鍵"が目を見開いて振り向いた。


どうやら少し驚いたらしい。



その刹那で油断を突かれて、天人の拳がモロに左肩を直撃した。


しかしそれを意に介さずもう一人の天人を筆舌しがたいえげつない殺し方で息を途絶えさせる。



(面白いなぁこの女。)



しばらく彼女の虐殺劇を眺めようと、俺は手を出さずに見物し始めた。



すると女は俺を襲いにかかった。


笑顔を崩さずに飛んできた拳を片手で受け止める。




「夜兎が何の用?前も私の事追ってたでしょ。」

訝しげな目で睨みながら初めて声を発した。


拳を受け止めたまま、股に向かって蹴りを入れようとする脚をもう片方の手で受け止める。


俺の反応の速さに焦ったのか、より一層顔を強ばらせた。




「何が目的って、分からないの?研究所に連れ戻しに来たんだよ。」




案の定、俺の言葉を耳にした瞬間、女は不安の色を見せ、僅かに力が緩んだ。




ザシュッ



残り一体の天人の爪が彼女の脇腹を引っ掻き、同時に赤い液体が飛び散った。


何とか致命傷を逃れるまでには身をかわせたようだ。


あっという間に最後の天人を他と同様に殺した。


何度も何度も、憎くて仕方ないと言わんばかりに刀で天人の胸部を刺す。



頭を垂れ、乱れた髪の先からふと一粒の光が落ちるのが見えた。


(泣いてる?)



「二度と、あの地獄には戻らない....お願いだから帰って、私の事は諦めて...」


震えつつも強圧的な声で呟く。


もうとっくに死んでいるただの肉塊に何度も刀を突く手首を掴んで止める。


「行きたくなくても連れて行くよ。俺はお前を気に入ったから痛いようにはしない。」



優しく声をかけたつもりが、女は俺の手を強く振りほどき、刀の刃を自分の首に突きつけた。




「そんな事したって意味無いよ。」


平然と言葉を発したが、内心自害しないかとヒヤヒヤしていた。



死んでしまっては元も子もないのだから。



「今さっきまでね、クズを抹殺して最高に幸せだったの。でも今は最悪。
よりによって地獄へ連れ戻す悪魔が夜兎族だなんて、笑えないのよ。

私が一体どんな大罪を犯したと言うの...あんたに連れて行かれるくらいなら死んだ方がマシ。」






その目は恐怖と言うより激しい憎しみと恨みに燃える目だった。

あの晩何があったのかという話 【後編】→←あの晩何があったのかという話 【前編】



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のと丸(プロフ) - ジャスタウェイさん» ジャ、ジャスタウェイさん...!初めまして!!お褒めのお言葉誠にありがとうございます!!更新頑張ります〜(●´▽`●) (2019年8月13日 20時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
ジャスタウェイ - とても面白いです。ぜひ更新頑張ってください。 (2019年8月13日 19時) (レス) id: f6013c941d (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» みぃさんこんにちは〜!!超特急で帰ってきてしまいましたね笑応援ありがとうございます!!(●´▽`●) (2019年8月9日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - こんにちはです!帰って来るの待ってました。これからも頑張ってください! (2019年8月9日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - シルバさん» コメントありがとうございます!!すごくすごく嬉しいです!!。゚(゚^ω^゚)゚。更新停止と宣っておきながら、結局更新再開することになってすみません(TT)節操なしの作者ですが、何卒宜しくお願いします!<(_ _*)> (2019年8月9日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月28日 17時

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