立ち向かう勇気も逃げ出す勇気も紙一重 ページ10
「今日こそお前を公務執行妨害で逮捕してやる。」
鼻息を荒くし、悪い笑みを浮かべる土方さんは、まるで今にも襲ってきそうな闘牛のようだった。
「あー、えーと、一旦落ち着こ?な?」
どの口がなだめてんだと、私は思った。
「俺ぁいつだって落ち着いてるぜ?
落ち着いてねぇのは、お前らの方だろう?」
もはや笑っている土方さん。
「いいい、いかんよ?土方くん、人の店の中で暴れたらそれこそ営業妨害になるから!!やるなら外で、ね!」
必死で今ある命を延命させる銀さん、と隣でガタガタと肩を震わす新八くん。
笑顔も引きつってそれは狼に追い込まれ窮地に立たされた兎のようだ。
「あの、本当に落ち着いた方が...」
私が重圧に押されてか細くなった声をかけると、
「あ"ぁ?」
部外者は黙ってろという目で睨まれる。
その態度にカチンときた私は、思い切って土方さんと銀さんの間に割って入り、慎重に声を出した。
「店主さんが、困ってますよ。」
私の言葉を聞くと、後ろで店を壊されないかとヒヤヒヤして見ている40ぐらいのおじさんに彼の目線がいった。
「.....悪ぃ、頭冷やす。邪魔したな。」
そう言って戦意喪失すると、煙を吐きながら店の外へ出ていった。
(こ、怖かった.....!!!)
今になって心臓がバクバクと音を立てる。
なんて鋭い目付きだったんだろうか、顔の端正さも相まって余計怖く感じた。
「よくやったA!!!」
嵐が去ったような雰囲気をぶち壊す銀さんの安堵も安堵した調子良さげの声が耳に響いた。
悪戯な笑みで私の頭を雑に撫で回してくる。
「もう!危ないじゃないですか!やっぱり人を騙すなんて良くないです!」
照れ隠しもあって、銀さんにお説教すると、新八くんも私の言葉に同調した。
「Aさんがいてくれて本当に助かりましたよ。
あのままだったら僕らどうなってた事やら...土方さん、苦労してここまで運転してきましたからね。何時間も。」
(そうだ....窮屈じゃない代わりに彼はずっと店の名前だけを頼りにあっちこっちと人に聞き回って、何時間も運転してようやくここに着いたんだ。
なのに連続殺人犯なんて無縁の所に来させちゃって、本当に悪い事したなぁ....)
気を落とす私を見て、銀さんも少し反省したのか、肩を優しく叩いた。
「じゃあアイツの苦労を無駄にしないよう、俺達は目的を果たすぞ。」
落ち着いた声で発した彼の目線の先には、店の崩壊を免れて安堵する店主がいた。
どんな小さい光でも、それは光に変わりないのだから、そこ目がけて暗闇から脱しろ→←裏切りの恨みは計り知れず、幽霊なんて比じゃない怖さ
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のと丸(プロフ) - 餅みそさん» ありがとうございます!!更新頑張ります(●´▽`●) (2019年7月30日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - こういう話し好きです!続き楽しみにしてます。更新頑張ってください (2019年7月29日 19時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - MIRAIさん» コメントありがとうございます!!読者様にワクワクできるよう話を練っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!(´>ω<`)これからまたどんどんストーリーが展開していくので、どうぞ最後まで楽しんでって下さい!! (2019年7月26日 5時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
MIRAI - 先がわからなくってドキドキしながら読んでます!とっても面白いです。頑張ってください!! (2019年7月26日 3時) (レス) id: c6a480e818 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - 金持ちのボンボンになりたいさん» コメントありがとうございます!!ミステリー!そう言って下さるとは思いませんでした!(*^^*)これからもどうぞ楽しんでいって下さい!! (2019年7月25日 14時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月18日 20時