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好きとは、一概に楽しいものとも悲しいものとも言えない複雑で単純な感情だ ページ28

私はそもそも、そんな自分の性格のせいで銀さん達に無理やり仕事とは言えないタダ働きを強いているのではないか、と不安になったのだ。


しかし銀さんはそんな私の懸念を無意味にした。


「何、カッコつけてるの?大人ぶってるの?」

「し、真剣なんですけど!」


軽いノリで返す銀さんに自分が少し恥ずかしくなる。

そして銀さんは話を続ける。


「あのなぁ、だいたいあの依頼書は俺宛のもんだし、タダ働きカッコつけて引き受けたのも俺だから。
俺がいつお前に頼まれて人捜ししたって言うんだよ。」


「そう言えば....そうですね。」

私はもう何を言っても一人で任せてもらえる気がしなくなって、話を合わせた。


結局銀さんも私と同じで、一度引き受けた依頼はどんなに無意味だろうと途中で投げ出さないらしい。


そう言ってくれるのを待っていた気もする。




そして後付けのように銀さんは笑って言った。

「ま、俺も新八も神楽も、自分(テメー)のやりたいようにやってるんだ、
自分のせいでとか、クソの役にも立たねぇ事を一々考えてねぇで、お前もやりたいことやれ。」


「......はい。」


その言葉は私にとって複雑なものだった。


やりたいようにやった結果が皆同じだなんて、なんという自信と信頼。

私は圧倒された。


三人の絆は本当に強い。



心の奥底で強く強く繋がっているのだ。




そんな人達の輪の中にひょこり現れた私は、

もちろん輪の中に入れるほどの器も持ち合わせてない単なるよそ者、もっと言えばただの部外者だ。




いつか元の世界にひょんな事で帰って、ここからすんなり消えてしまえば、

きっと彼らの中の私は記憶に埋もれて死滅する。



一時的に万事屋として働いた家出娘、それで、片付いてしまうのだろう。



そんな見え透いた現実をちゃんと見ているつもりで、本当は目を背けていた。



もう元の世界に帰れなくてもいいという気持ちを抱いていた事に。



それほどまでに彼らと居るこの時間は楽しかった。



本気で三人の事が好きになっていた。



でも彼らの絆の強さを思い知らされるほど、私との距離が開いていく気がした。


だから好きになればなるほど自分と彼らとの距離を思い知らされるのかと思うと、恐くなった。



好きだからこそ、近付けなくなる気がした。






「銀さん、もう行きましょう。日が暮れますよ。」




私は立ち上がると、自分でも驚くくらい冷めた声で言葉を発した。

自分の意見と相反する人の意見も素直に認められる人間は成長する→←蜘蛛の巣に引っかかると本当に厄介だよね



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のと丸(プロフ) - 餅みそさん» ありがとうございます!!更新頑張ります(●´▽`●) (2019年7月30日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - こういう話し好きです!続き楽しみにしてます。更新頑張ってください (2019年7月29日 19時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - MIRAIさん» コメントありがとうございます!!読者様にワクワクできるよう話を練っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!(´>ω<`)これからまたどんどんストーリーが展開していくので、どうぞ最後まで楽しんでって下さい!! (2019年7月26日 5時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
MIRAI - 先がわからなくってドキドキしながら読んでます!とっても面白いです。頑張ってください!! (2019年7月26日 3時) (レス) id: c6a480e818 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - 金持ちのボンボンになりたいさん» コメントありがとうございます!!ミステリー!そう言って下さるとは思いませんでした!(*^^*)これからもどうぞ楽しんでいって下さい!! (2019年7月25日 14時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月18日 20時

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