蜘蛛の巣に引っかかると本当に厄介だよね ページ27
「銀さッ...!!」
どうやら後ろにまだ二人男がいたらしい、全く気付かなかった。
両手を後ろで抑えられ、口も塞がれ、連れていこうと強引に銀さんから遠ざけられる。
「Aっ!!!」
銀さんが私の姿を目にした途端血相を変えて、
拘束して連れて行こうとする男らから引き剥がす。
私は勢い余って銀さんの胸に飛び込む形に。
「こいつ今ちゃんと着物着れてないんでー、無下に扱わないでくれません?ポロリしちゃうから。」
そう言うと、逃げるが勝ちと言わんばかりに、
襲って来た奴らを木刀であしらいながら表路地に出て、私を連れて走り出した。
追いかけてくる男達。
何度振り切っても私達を見つけてくる。
「しつけーな!ゴキブリかよ!!」
振り向きざまに呟いて一目散に走る銀さん。
(やばい....もう走れない....)
私はもう足がついていけないことを悟った。
すると銀さんは川をまたぐ木橋の下に滑り込んで、私を庇うように身を潜めた。
頭上から男達の騒がしい足音がドタバタと通り過ぎて行くのを聞くと、ようやく安堵の溜息を漏らした。
「しばらくここで待機だな、あいつらとまた出くわしたら厄介だ。」
「そうですね。」
息を切らしながら返事を返した。
川の流れる静かな音は、頭上の橋を歩く足音で掻き消されている。
空はそろそろ朱色に染まりつつあり、影が伸びてきた。
そんな中、橋の下で男女二人は体育座りで一言も交わさないまま、同じ川の水面を眺めていた。
「銀さん。」
声をかけると、なんだ、と相変わらずの声調で返事をする銀さんに、私は一つ提案する。
「やっぱり報酬もないのにこれじゃ無駄働きになってしまいますよ、銀さん達。この人捜しは私が個人的にやりますから、銀さん達は他の依頼受け持ってください。」
そう言うと、銀さんは抑揚のない声で私に訊ねてきた。
「じゃあお前は何で報酬も情報も確証もねぇ人間を捜すんだ?」
ごもっともな質問だった。
そして自分でも分からないまま何とか口にする。
「それは....まあ、何となく、ほっとけないってだけですよあの依頼書が。
私、一度探し始めた物は、見つかるまで絶対諦めたくないタイプなんです。
だから、無報酬だし仕事としてやらずに、この妹さん捜しは、個人的にやろうかなって」
なんの理由にもなってない自分の言葉に我ながら苦笑いをする。
でも銀さんはそんな私を見て笑いも呆れもせず、目じりを下げて口を開くのだった。
好きとは、一概に楽しいものとも悲しいものとも言えない複雑で単純な感情だ→←裏路地も恋路も入り組んでて分かりゃしない
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のと丸(プロフ) - 餅みそさん» ありがとうございます!!更新頑張ります(●´▽`●) (2019年7月30日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - こういう話し好きです!続き楽しみにしてます。更新頑張ってください (2019年7月29日 19時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - MIRAIさん» コメントありがとうございます!!読者様にワクワクできるよう話を練っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!(´>ω<`)これからまたどんどんストーリーが展開していくので、どうぞ最後まで楽しんでって下さい!! (2019年7月26日 5時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
MIRAI - 先がわからなくってドキドキしながら読んでます!とっても面白いです。頑張ってください!! (2019年7月26日 3時) (レス) id: c6a480e818 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - 金持ちのボンボンになりたいさん» コメントありがとうございます!!ミステリー!そう言って下さるとは思いませんでした!(*^^*)これからもどうぞ楽しんでいって下さい!! (2019年7月25日 14時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月18日 20時