異世界人と万事屋２【銀魂】

可愛くない乙女という生き物は存在しない ページ25

〜銀時side〜

「じゃあ銀さんは外で待ってて下さい。もう少しで決まりますから。」


そんな遠慮した言葉が聞きたくて冗談を言ったわけじゃねぇんだけど、とすれ違った感覚を感じた。


俺はすぐに他人の事を気遣うAの可愛げのなさに釈然としないため言い返した。


「嘘つけ、そういう奴に限って何時間も彼氏を待たせる性悪タイプなんだよ。
ほら、これでいいだろ、値段も見た目もお前に似て無難だ。」


わざと文句を言われるような意地の悪い事を言ったのにも関わらず、

俺が選んだ髪留めを見たAの表情は、曇るどころかみるみるうちに晴れ上がった。


「じゃあ、これに！します！！」


声色も何故か嬉々としている。

突然上機嫌になったAは、早速それを会計に持っていった。



(そんなに俺が選んだ髪留めが気に入ったのか？あーやっぱ銀さんセンスいいからなァ。)

心の中でそう言いつつ、


正直なことを言うと、





あの髪留めを見た瞬間、

アイツが好きそうで、そしてアイツに似合うだろうと思っただけだった。




青い竜胆の花をモチーフにした髪留め。





これを見た時に思い浮かんだのが、



偶然、花言葉を呟くAの姿だったってだけで。



(悲しむ貴方が好き、ねぇ....)



俺は無自覚に心の中で竜胆の花言葉を呟いた。


店の外で待ってると、あからさまに照れたような、嬉しいような、
付き合いたての中学生カップルみたいなノリでAが戻ってきた。


(そんなに嬉しいのかよ....)



呆れつつも、そんなAを可愛いな、とも思っていた。


「いい買い物できたか？」


試しに聞いてみると、


「はい！！！」


屈託のない笑顔で、予想以上にいい返事が返ってきた。



(なんだよ、可愛いじゃんよ...)



それからも笑顔が絶えないAを見て、久しぶりに乙女という生き物を見た気分になった。

裏路地も恋路も入り組んでて分かりゃしない→←人はみな好きな自分と嫌いな自分を認めなければやっていけない

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