人の話は遮らずに最後まで聞くのが礼儀 ページ14
座席から出てきた二人の男の人は、「頭に用があるんでしょう、俺らに着いてきてくだせぇ、」と言うと体をほぐしながら歩き始めた。
どんどん先に進む彼らの後を私達は慌てて追った。
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「頭ァァ──!おいお頭ァ!!」
一人の顎ひげが特徴的な男の人が、大音声を上げて秀策さんを呼び出す。
ドリルを開ける低重音や、釘を打つ甲高い金属音、
男の人たちの唸るような掛け声に、肉体労働を感じさせるむさ苦しい雰囲気、圧倒される。
「何だァ茂吉──!!蚊の鳴くような声じゃ聞こえねぇんだよバッキャロ──!!!」
周囲の喧騒をもしのぐ怒号が頭上から降ってきた。
「すぃやせぇん!!あの、頭に用があるっていうお客さんが見えてるんでさぁ!!!」
茂吉さんは、さっきよりも声量を増して声を張り上げた。
すると、男は屋根の瓦にかかるはしごから慣れた足つきで颯爽と降りてきた。
「あんたがー、秀策さん?」
銀さんが訊ねると、ごもっともだと言うように大きく首を縦に振った。
着過ぎてくたびれた古いつなぎを身にまとい、腰には鉛のように重そうな道具を幾つもぶら下げ、
足の足袋は泥の乾いた汚れで、元々の色が薄褐色だと思ってしまうほどだった。
筋肉質で年の割にシャンとした背筋で背丈は170くらい、
顔は白い毛で覆われてるくせ、頭だけとても寂しく頭皮をさらけ出している。
そんなまだまだ現役と言わんばかりの元気なお爺ちゃんは、
皺を深く刻んで、前歯1本だけの金歯を見せつけるように笑ってみせた。
「阪東建設に、何か御用かな?」
しゃがれた声だが陽気な声色だ。
「いやー、阪東建設じゃなくて、秀策さんに用があって来たんですよ。単刀直入に聞きますけど、これ、秀策さんが書いたんですか?」
銀さんは淡々とした態度で早速懐から依頼書を取り出す。
封筒だけ見て直ぐに秀策さんは「おー書いたぞ。」と一言言って認めた。
「おい聞いたかお前ら!!!これで億万長者だぞ!!!」
「キャッホイ!!」
早とちりしてもうはしゃぎ出す銀さんと神楽ちゃん。
「もう!まだ妹さん捜してもいないのに話飛躍し過ぎですよ!!」
ツッコミつつも新八くんも満更でもない顔だ。
私だけ蚊帳の外に居るような気分で、依頼人の目の前で喜ぶ彼らを見ていた。
だけど、喜んでいる彼らに疑念の眼差しを向けていたのは周りにいた大工さんだけでなく、
依頼人であるはずの秀策さんもまた然りだった。
さっき載せた最新話はどうかどうか忘れて下さい→←工事現場の音とセミの鳴き声耐えるならどっち
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のと丸(プロフ) - 餅みそさん» ありがとうございます!!更新頑張ります(●´▽`●) (2019年7月30日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - こういう話し好きです!続き楽しみにしてます。更新頑張ってください (2019年7月29日 19時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - MIRAIさん» コメントありがとうございます!!読者様にワクワクできるよう話を練っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!(´>ω<`)これからまたどんどんストーリーが展開していくので、どうぞ最後まで楽しんでって下さい!! (2019年7月26日 5時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
MIRAI - 先がわからなくってドキドキしながら読んでます!とっても面白いです。頑張ってください!! (2019年7月26日 3時) (レス) id: c6a480e818 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - 金持ちのボンボンになりたいさん» コメントありがとうございます!!ミステリー!そう言って下さるとは思いませんでした!(*^^*)これからもどうぞ楽しんでいって下さい!! (2019年7月25日 14時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月18日 20時