迂闊に個人情報を漏洩するのは危険なので気を付けよう ページ3
「あ、えと、その、これは、何ていうか...!」
動揺を微塵も隠しきれてない私の様子にハテナを浮かべるように眉をつり上げた男の人。
「あー、まぁ、何だっていいんだけど。あのー、ちょっとどいてくれる?これー、置きたいからさ。」
面倒そうな気だるげな声で、両手にぶら下げていたこれまたはち切れそうなほどの黒いゴミ袋を、
私にアピールするように持ち上げて見せた。
「あっ、すいません。」
私の動揺とは真逆の釈然とした態度に萎縮して、自分の声が小さくなったのを感じた。
ん、ども。と小さく礼を言うと退けた私を横切って持っていたゴミ袋を適当に放り、その男の人はまたそれとなく話しかけてきた。
「お嬢さんね、もうそろそろ日も暮れるしそんな所で油売ってないで、母ちゃんに心配かけない内にとっとと帰るんだぞ。」
本来なら彼よりもっと歳のくったおじさんが言いそうな台詞を、まるで本当におじさんのような口ぶりで忠告してきた。
「あ、あの、ここってどこですか?」
現在地すら分からない私に帰る場所へ帰れと言われても無理な話だ。
唐突ながらも藁にもすがる思いで男の人に尋ねてみた。
「かぶき町に決まってんだろ。なんだ、迷子か?嫁入り近そうな年頃なのに。」
呆れたような素振りだが、しっかりと答えてくれた。
かぶき町。
「ドコデスカ?ソレ」
またもや理解のできない単語で一層頭が混乱し始めた。
「え、おいマジで迷子なのか?なんだ、お嬢さんどっからきたの?自分家の地名くらい覚えてるだろ?」
少し目の色を変えて私の方を向き、男の人は質問してきた。
私は地名だけじゃなく、住所も電話番号も事細かに教えた。
それが個人情報を暴露しているという事に気付くのは、時すでに遅しだったのだが。
そんな事は案ずる必要は無かったみたいで、男の人は親切に警察へ連れていってやると提案してくれた。
「ありがとうございます...」
内心安堵した矢先、路地に出るや否やそれは紛れもなくテレビの中でしか、いや、
テレビでも見たことの無いような不思議な景色が広がっていた。
「.........」
愕然とその景色を見渡し、口をあんぐりと開くその時の私はみっともなかったに違いない。
そこには江戸時代の時代劇のロケ地のような建物が並び、
通り過ぎる通行人はもはや時代劇のエキストラのような格好、つまりほとんどの人が和服を着ている。
まるでコミカルな時代劇の撮影現場に居合わせた気分だった。
ぶっちゃけどんな奇抜な格好してても、慣れれば受け入れられる→←変質者を見る時は大体みんな同じ目付きになる
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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー!鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね!ありがとうございます!(´∀`*)続編というか、新作ですが;; (2019年7月15日 9時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして!コメントありがとうございます!!ご感想とても嬉しく、励みになります!。°(°´∀`°)°。銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽`*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とても面白いです!この作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月10日 22時