兄妹 ページ39
「何してんだお前は」
「・・・すいません」
パトカーの中でかなり本格的な取り調べが始まり、私はと言えば謝ることしか出来ない。
せめてもの救いは、相手が十四郎という点だ。
「これまでの経緯は分かった。どうして刀を握ったこともないお前が、男1人斬り伏せてんだって聞いてんだよ。」
「必死だったし覚えてない、としか・・・」
「過剰防衛と判断されればそれまでだ。こっちとしても詳しい状況が分からなきゃどうにもできねェ。」
・・・なんで庇ってるんだろう、私。
実は万事屋に助けられたから知らない、そう言ってしまえば終わるのに。
事実、私は男が斬られた瞬間を知らないのだから説明の仕様がない。
「・・・お前、本当は何も見てねェな。」
全てを知っているかのような十四郎の口ぶりに、ドキリとした。
「やったのは万事屋か。」
「・・・違う」
隠したって無駄なことは分かっている。
真選組副長がそんな嘘に騙されないことくらい。
だけど。
真選組副長としてじゃなく、私の兄としてなら、どうだろう。
「ここで少し待ってろ」
その言葉を残してパトカーを降りた十四郎。
車内に残された私は落ち着かず、未だに鮮明に脳裏に焼き付いた現場を思い出す。
私が中途半端なことをしたばっかりに。
「いってェな!テメッ・・・!」
パトカーのドアが開き、隣に押し込まれてきた罪人(仮)。
「おいテメェの兄貴どうなってんの?本当に警察かよ?」
「警察だ。だからこそテメェらの取り調べしてんだよ。」
運転席に十四郎が戻り、私の隣には万事屋。
なんだこれ。数日前のホテルがデジャヴに思えてくる。
「で?本当は何があった?」
「本当も何も、真選組副長サマの妹が自己防衛の延長でやらかしただけだろ」
「・・・否定はしない」
「いい加減にしろよ、アホかテメェら。」
十四郎が、苛立ちを隠そうともせずタバコに火をつけた。
「万事屋。一応、礼は言っておく。」
「何のだよ、覚えがねェんだけど?」
「・・・コイツを助けたのはお前だろ」
「知らねェな。俺が来たときには片付いてたって」
「そうかよ」
頑なに事実を認めない万事屋と、知らないふりをする私と、きっと全部察している十四郎と。
3人全員が事の真相を知っていながら、取り調べは平行線のまま。
「・・・今回だけだ」
結局折れたのは十四郎で、そこに真選組副長としての土方十四郎はいない。
私のせいで。
私は一体、何がしたいんだろう。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時