歪んだメガネ ページ34
▽side 坂田銀時▽
「Aさん、大丈夫ですかね?」
「なんだかんだうまくやるだろ」
ストーカー女に連れられ、アイツがバイトに向かってから数十分。
神楽も定春の散歩に出かけて居なくなった空間で、新八がふと心配の声をあげた。
「でも囮なんて危険ですよ。何事も無きゃ良いですけど。」
「大丈夫だよ、あの変態メガネが付いてんだろ?」
普段の猿飛あやめがどんなに酷いストーカーであれ、始末屋としての腕前は本物だ。
「それに、兄貴はあの真選組副長。いざとなりゃ頼るさ。」
「・・・あの、銀さん」
「今度はなんだ」
「土方さんに頼るも何も、そもそもAさんのこのバイト、土方さんは知ってるんですか?」
そう問われて返答に困る。
あの女のことだ。確かに、『言うほどのことでもない』なんて伝えていない可能性もなきにしもあらず。
その場合、新八が言う通り兄貴に頼る以前の問題であって。
いざというとき状況から伝えなければいけないとなると、迅速な対応は望めない。
「・・・まあ始末屋の本気があれば、心配することもねェよ」
そうだ、そもそも変態メガネがサポートしているのだからきっと大丈夫。
それもそうですね、なんて納得したらしい新八を横目に、再びジャンプのページをめくろうとした時。
「ただいまヨー」
定春の散歩を終えて帰宅した神楽の気の抜けた声。
いつも通りの日常のワンシーン、のはずだったのに──。
「ねぇ、見てヨ。これ下に落ちてたアル。」
「なんだそれ?」
その形は確実に知っているはずなのに、少し歪んでいるせいで未知の道具にも見えた。
「新八の友達じゃないアルか」
「誰の友達がメガネだァァァ!」
そう、神楽の手に握られたそれはメガネだ。
「新八の本体はメガネなんだから、友達がメガネでもおかしくないヨ」
「誰の本体がメガネだァァァ!」
メガネ・・・・・・
そのとき、未だギャーギャーと騒ぎ続けるガキ共の声など俺の耳には届いておらず。
頭の中では変態メガネを投げ飛ばした瞬間まで、記憶が巻き戻っていた。
俺に投げ飛ばされて戻ってきたとき、メガネをかけていただろうか。
もしも壊れたそれを落としたまま始末屋の仕事に向かっていたら。
囮のバイトをサポートするどころではなくなるんじゃないか。
ならば、囮となったアイツは誰を頼れば良い──?
「銀ちゃん!?どこ行くアル!?」
頭で考えるよりも早く、俺は万事屋を飛び出した。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時