不覚 ページ20
「え・・・ごめんなさい、本当に。」
私の知る万事屋は、物事の全てがどうでも良さそうな顔をして、面倒事からはひたすら逃げて。
そんな適当を具現化したような男の目がギラつく条件とは何か。
ただそこに好奇心がはたらき、先ほどの発言となったわけだが。
こんな顔もするんだ・・・。
平気そうに振る舞っているのに、今にも泣き出しそうな顔。
いや、泣きたいのに泣けないジレンマ・・・だろうか。
「お前、キャバ嬢には勿体ねェな」
「は?」
「それほど人を見抜く力があるなら、どんな仕事でも強みになるだろ」
「強み・・・じゃない、残念ながら。」
人を見抜く力、か。
初めてそんな事を言われた。
ただし、人から見た強みが自分でもそう思えるかは別の話だ。
「まぁ、それはまたいつか。」
抱えた物すべてを話してしまうには、私はまだ万事屋を知らなすぎる気がして。
・・・って、「まだ」って何?
まるでこれから知っていこうとしているみたい。
ないない、そんなの絶対にお断りだ。
興味を持ったのはこんな適当な男が引き寄せているらしい「信頼関係」についてであって、決して万事屋本人について知りたいと思ったわけではない。
「・・・ところで、なんで私を泊まらせたりしたんですか?」
「面白いからに決まってんだろ。バズーカでピンポイントで破壊された家の住人、そいつの悲痛なツラが近くで見れるチャンスじゃねぇか。」
・・・このサディストが!!!!
万事屋の言葉に強めの殺意を感じたのは不可抗力としてもらいたい。
「あ、あとそれからもう1つ。」
「今度は何だよ」
「万事屋は十四郎と腐れ縁らしいですけど・・・。その・・・十四郎って私のことどう見てると思いますか?」
腐れ縁とはいえ、それなりに付き合いがあれば分かるんじゃないだろうか。
十四郎は私のことを完全に信用したわけじゃないのだろうが・・・。
周りからはどう見えている・・・?
少なからず私の真意を察したらしい万事屋が、複雑な表情で口を開いた。
「気にかけてはいるんだろうが、どちらかと言えば兄としてってより警察としてだな。正直まだ警戒もされてると思う。・・・まあ気長に待つのも大事だろ。」
「・・・腹立つ」
「はぁ!?良いこと言っただろうが!」
「正論すぎて腹立つ!」
私の考えていたこと、そのままで。
万事屋の言葉で、少し気持ちが軽くなった事実が腹立たしくて。
「・・・不覚」
万事屋の優しさをまた1つ、知ってしまった。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時