3234話 ↑ ページ48
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桃太郎「・・・・・・くっそ、マジかよ」
私を強引に眠らせてでも屯所に連れ帰るのが自分の任務だと勘違いしていた桃太郎が、パトカーのエンジンを入れた時だった。
前後左右全てを柄の悪い連中に囲まれて、これはヤバいとすぐに悟る。江戸随一の危険区域に住まう輩だと思われ、天人も含まれている。
パトカーがあるのにわざわざ襲って来るのは、相当な喧嘩好きか仲山の手下に当たる立場かのどちらかだと推測した私達は、否が応でも刀を抜くはめに。
「報酬の為に死んでもらって良い?」
「そうそう、人生やっぱり金だから」
「がっぽり貰えるらしいからなァ。あざーっす」
見知らぬ奴らの金の為に死んでやれる程、お人好しでは無い。よって、桃太郎と背中を合わせてまずは戦う。それから、隙を見て土方さんと合流してやろう。
それくらいに軽く見ていた。
でも、事態は一気に悪い方向へと加速する。
タコ男「ねっ姐さん!!危ねェ!!」
「・・・・・・な、」
こんなに心地の悪い夢なら、さっさと醒めてはくれないか。
実質上の指揮官的存在である仲山が到着したと思えば、ゼェゼェ言ってるタコ男が全速力で走ってきて、瞬く間に敵を倒したかと思えば、私の目の前には人が居た。人が、倒れていた。
「えっ・・・?嘘、でしょ」
何が起こったのか、分からなかった。
一つ確かな事は、私を庇って人が倒れた事くらい。
それでなくても瀕死だったタコ男が、あのタコ男が、私を庇って倒れていたのだ。
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。嘘に決まってる。
桃太郎「あっ、姉貴!今はっ・・・」
「う、う、う嘘だ嘘だ、嘘だよ」
桃太郎「姉貴!!」
「一日に二度も、そ、そんな事ある訳無い。そんな、そんな事・・・」
桃太郎「しっかりしろ姉貴!!」
最後の一人が倒れたのは、数十秒後。
その数十秒間、私の身体は震えが止まらなかった。
血だらけの仲間が、私の目の前で、刺されて、刺されて、それで。
タコ男「・・・・・・お、おれ」
自身の懐を漁った、右手。そして握り締めた、写真。
「・・・・・・タコ、やめて。やめてやめてやめて。お願いだから・・・やめて・・・っ!!」
余っていた左手は、私の右手を引く。
タコ男「す、き・・・で・・・・・・し」
口に近付けられたかと思えば、力なく雪に沈んだ。
「タコ?・・・し、志田くん?ねえ、冗談やめてよ・・・・・・やだ、やだよっ・・・!!」
その日。また一人、仲間が命を落とした。
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堕天使(プロフ) - 今回のシリアスは、話が話なだけに皆様の反応が心配で心配で、コメントを見るたびに励まされて頑張ろうってなって、なのに更新しないでコメ返もしないで放置して…反省します。これからもハラハラドキドキさせられるように、頑張ります!!!!よろしくお願いします!! (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 要約するとひたすらありがとうでいっぱいです。ありがとうございます。コメントが来る度にちらちら見てました(何故返さない)リクエスト、了解致しました、それこそ遅くなりそうですが気長にお待ちください…(頭抱え) (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 皆様、たくさんのコメントありがとうございます!そして、返信するのが遅すぎて一括でやるはめになってしまって申し訳ございません。一人一人返したいのは山々なのですが、連続で操作すると占ツク自体が重くなりそうなので今回は気持ちだけお家に訪問してるつもりで… (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
千鳥(プロフ) - 文字数ギリギリの長文失礼しました。 (2018年3月6日 17時) (レス) id: 042eec4381 (このIDを非表示/違反報告)
千鳥(プロフ) - タコおおお!!!名前がない隊士が死ぬのとは訳が違う!死なないでえ!またタコ男も含めた真選組のギャグが見たかったァ!これだけ長い小説だからこそ読者である私達もオリキャラへの愛が生まれて、死んだ時の悲しさが増すんだろうなって思ったよ。続編楽しみにしてる! (2018年3月6日 17時) (レス) id: 042eec4381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2018年2月10日 17時