3223話 ページ38
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ふと気が付くと、まるで夢の中に迷い込んだかのような感覚に陥っていた。ぼんやりと昔の記憶が蘇り、何となく初めてではないこれは、あと人生で何度経験する事となるのだろうか。
うっすらと目を開ける。ブオオという音と共に自分の身体が動いているような気がして、どうやら車の中に居るのだと理解した。どれだけ揺られてきたかは、分からない。
抵抗する気力は無く、体力は今にも底をつきそうである。腰に差していた筈の桃太郎に頼んで新調してもらったばかりの刀は、すっかり姿を表さない。取り上げられた様子。
「・・・・・・いっ、」
頭をハンマーでかち割るような痛みに襲われて、思わず顔を歪めた。別に手で額を押さえたとて何も変わりはしないのに、四肢を縛られているためにそれが不可能で、不思議と余計に痛く感じられる。
その小さな声が聞こえてしまったようで、後部座席を覗く真選組"元"隊士。認めたくはないけれど、彼はもう真選組の仲間では無い。
「起きたんスね。もうちっとで目的地なんで、あと少しそのままで頼んますわ」
にんまりと笑い、再び前を向く。
米澤くんは、いつからそちら側なのか。そんな疑問を抱きつつ「高崎のところ?」と目的地の場所を問えば「ご名答〜」と言いながら、気持ちが一切込められていない拍手を、パチパチとわざとらしくしていた。
「まあ、今向かってるところは、ボスの所というより・・・・・・」
「おいそこまでにしとけ。あんま情報流すんじゃねェ」
「えぇ?どっちみち記憶無くなるんだし、言ったって問題無いじゃないっスかあ」
横たわっている私の目では顔まで確認出来ないが、声は運転席の方から聞こえてくる。状況が把握出来ないまま、ただひたすらに揺られる事しか出来なかった。
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堕天使(プロフ) - 今回のシリアスは、話が話なだけに皆様の反応が心配で心配で、コメントを見るたびに励まされて頑張ろうってなって、なのに更新しないでコメ返もしないで放置して…反省します。これからもハラハラドキドキさせられるように、頑張ります!!!!よろしくお願いします!! (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 要約するとひたすらありがとうでいっぱいです。ありがとうございます。コメントが来る度にちらちら見てました(何故返さない)リクエスト、了解致しました、それこそ遅くなりそうですが気長にお待ちください…(頭抱え) (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 皆様、たくさんのコメントありがとうございます!そして、返信するのが遅すぎて一括でやるはめになってしまって申し訳ございません。一人一人返したいのは山々なのですが、連続で操作すると占ツク自体が重くなりそうなので今回は気持ちだけお家に訪問してるつもりで… (2018年3月19日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
千鳥(プロフ) - 文字数ギリギリの長文失礼しました。 (2018年3月6日 17時) (レス) id: 042eec4381 (このIDを非表示/違反報告)
千鳥(プロフ) - タコおおお!!!名前がない隊士が死ぬのとは訳が違う!死なないでえ!またタコ男も含めた真選組のギャグが見たかったァ!これだけ長い小説だからこそ読者である私達もオリキャラへの愛が生まれて、死んだ時の悲しさが増すんだろうなって思ったよ。続編楽しみにしてる! (2018年3月6日 17時) (レス) id: 042eec4381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2018年2月10日 17時