第10話 ページ14
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少女とふたり1つ屋根の下とか。
ついに超えてしまってはならない最期の一線さえも超えたのかという今日この頃。
それにしても、あの白い肌に、番傘。
加えて髪色と青の瞳。どこかで見覚えがあるような気もするものの朝からなにかと考えるのも面倒。
とりあえずはここに残れば、この少女にことの顛末を説明しなくてはならなくなるのは明白。
「それは面倒くさいな。銀時ぶち込んだ障子の弁償とかさせられるものなら更に面倒くさい。障子代払うくらいならうちの"エナガちゃん"にワンランク上のご飯を準備するわ」
うんうんと頷き、少女の咎める声も他所に引き戸を閉めたところで世の中甘くないことを悟らされる。
「あれ?貴方…昨日の?え、絃さんですよね?ってあれ、昨日と同じ服、それに、なんで家から出て……え?」
「恥ずかしいから…その、あんまり細かいこと聞かないで…」
「えっ、あ、あああ、あのそのすすすすみまっせぇぇぇぇんん。うちのちゃらんぽらんですか?!うちのちゃらんぽらんが一線超えちゃったってことでいいですか?!」
「………聞かないで、」
「ちょっとここで待っててください…馬鹿に謝罪させますんで」
「え、いや、あのちょっと……これもしかして更に面倒なことになった?」
あまりに反応が面白いあまり。いや決して、言い訳だとか事情説明だとか言葉選びが面倒だったとかそういうわけでは決してない。断じてそういうわけではないが。
それに、奴が一線を越えたことは真実だ。
そうそう、少女と同居してる時点で…ていうかなに同居かましてんの。なんか無性にイライラしてきたんだけど。
と、中から聞こえてくる騒がしい声を背景に瞳を閉じれば懐かしい感覚。
ここは、懐かしいにおいがする。
「そっか。奴は一緒にいてくれる人たちを見つけたのか」
そう呟いた女の横顔はどこか寂し気に。
であれば、新たな一歩を踏み出した知己に自身は不要かと。
万事屋をあとにしようと背を向ければ、握られたその手の感覚にどきりとしたのきっと気のせい。
一瞬でも自身の中にあるなにか見据えてしまったのはきっと気のせいだ。
「なに、変態。その手、離してくれない?」
「誰が犯罪者だ、この野郎。それはお前だろうが。うちの障子ぶっ壊して?それから他人様のいちご牛乳かっ食らって?最終的に名誉棄損ですか??」
どうやらこのままここを離れることは難しいようだ。
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