第8話 ページ12
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真選組といえば。
泣く子も黙る江戸の警察組織。
であれば、その組織の長と副長までもを顎で使うこの女は何者だろうか。
化け物ですか??人外ですか?!!
そう叫びたくもなる今、時計はとっくに翌日を示しそして当の女はといえば熟睡を決め込んでいた。
「あーったく、こんなんじゃ回る酔いも回らねぇよ…どうしてくれんだ…。頭痛ぇよ、おい、起きろ。絃。起きないとは思うが起きろ。お前にほんの少しの良心でも残ってんなら起きろつってんだよ!!おーい!おねえさーん!!聞こえますかーー!!!」
耳元で叫んでみるもぴくりともしない。
思えばこの女は昔からそうだった。
昔から女らしさの欠片もなく俺たちと渡り合い、振り回しまくる。
近づいたと思えばふらりと消えるあたり野良猫かと思った日もあったがそれはおそらく違ったのだろう。奴が留まった場所は確かにあった。
そしてその居場所をこの手で奪ったのは間違いなく。
瞼を閉じれば脳裏に過る、あの日。
自身の師であると同時に親代わりだった者の首を切り伏せたあの時の奴の表情。
「本当は恨み節のひとつでも俺に言いたかったんだろ」
閉店時刻をすっかりと回った時分。
戸締りを任され、二人きりとなった夜は再会に相応しい空間か。
月光に照らされ美しく光る漆黒に指を通せば、自分がどんな顔をしていたかなど知りたくもない。
「って、柄にもねぇこと言っちまった。やっぱり飲み過ぎたかぁ?」
そうゾンザイに自身の髪をわしゃりとかけば、こちらを見据えるガーネットと視線を通わす。
「お前、起きて…まさか、今の、」
「馬鹿ね。本当に馬鹿。貴方ひとりにあの人の命、背負えるはずもないのに…でも、そこが銀時らしいのか」
「それ褒めてんの、貶してんの。お前がデレるとか今日は雨でも降るのかね」
「かもね。久しぶりに会ったから。ちょっと感傷にでも浸ってるのかもね。ちっとも変わらないアホ面下げてるから…安心したのかも」
「絃、」
コテでカールさせてきただろうパーマはすっかりと緩み、ストレートに。
そんなあどけない彼女を見据えれば、触れようとした手は行き場を失う。
「送ってやっから。家どこだ、お前」
問いを投げるも答えは帰ってこず。
溜息を吐けばそれはこの夜闇へと溶けていくのだった。
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