死なせてくれない死神さん

二話　ストレスの行方 ページ2

「あれ､まただ､､､､。」


最近理由もなく涙が出る事が多くなった。新学期早々嫌なことばっかり。


学級役員押し付けられるし、クラスメイトから嫌われているような気もする。


部活動に習い事で大変だし、最近ろくに寝れていない気がする。





ストレスが溜まって試みたのは自 殺。


方法は簡単。買った睡眠薬を一気に飲む。睡眠薬って飲みすぎると死ぬらしいからいいな。


薬の瓶に手をかけようとすると､俺が掴むより先に誰かが瓶を奪い取った。


「あーもう何で皆こんな苦しい死に方するのー？
　皆を楽に死なせるために私がいるのにー！ね、死にたいんでしょ？殺してあげる！」


薬の瓶を片手にショートカットの女の子がにっこり笑って言う。


「ほらね、こんなに泣いちゃって。ストレスによるものだよ無理のしすぎ。
　ああ私は死神だよ。死にたいなら一緒に死んであげる。」


死神、と名乗った彼女は最近街で噂のルカだ。


ルカは俺の頬に筋を描く涙を親指で拭う。


「あーあ、瞼も痙攣してる。顔色も悪いし隈もできてる、完全にストレスじゃん。
　なんでここまで溜め込んだの？」


「え､､､､？わから､､､､ない､､､､。」


優しい声色に涙が出てくる。溜め込んでいたものが溢れるように。


「泣いていいよ。辛かったんでしょ？ね。死にたくないんでしょ？」


慰めるような言葉に、体の力がフッと抜けてしまう。


俺は部屋の床に座り込んでしまった。


「あ､､､､なんで､､､､？」


「立ち上がらなくていいよ。疲れが溜まっていたんでしょ。
　君は無理をしすぎた。
　疲れやストレスも皆自分に原因があると思って溜め込んだ。
　自分の気持ちに鍵をかけて気づかないふりをした、」


段々と眠くなってきた。そういえばさっき睡眠薬飲んだっけ。


そうだ飲み初めで止められたんだ。


視界が回転し、床に倒れ込んでしまった。ルカは寂しそうな顔で笑った。


「君とは死ねない。私と似ててね。私は溜め込んで死神なんてものになっちゃったけど、
　君は明るい未来を歩んでほしいな。
　今は寝なよ。睡眠不足で死ぬ例もあるんだから。」


彼女の言う通り、目を閉じた。


なんだか気が軽くなった気がした。



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