よんじゅうに。 ページ43
◇
Aが砂利を踏んだ音で男性はこちらをゆっくり振り返る。
「よぉ、あんたが甘味屋のお嬢ちゃんかい？」
艶やかな黒髪、額から左目にかけて巻かれた包帯。
鋭い右目がAを見つめていた。
『あなたが配達のご依頼をされた方ですか？』
「あァ。うちの船の奴が江戸に珍しい甘味があると聞きつけてな。食いたいとうるせぇんだよ」
煙菅を吸い、息を吐く姿は様になっている。
佐藤の店のスイーツを食べたいと思ってくれた人に感謝しつつ、Aは男性に歩みを寄せた。
『こちらがご注文のお品です。作る人は変わってますが、ケーキのお味は保証します』
「そりゃあ楽しみだ。ほら代金だ、受け取りな」
『……え』
ケーキの入った箱を受け取った男性はAの手にお札を握らせると背を向ける。
ケーキはホールだが、5,000円あれば十分足りる金額。
Aの手には10,000円札が5枚あった。
『ちょっ、お兄さん！？ お金間違えてますよ！？』
「配達料だ、それで美味い飯でも食いな」
『いやいや、配達料にしては高すぎるんですけど……たかすぎ……あっ、お兄さんも気をつけた方がいいですよ』
「あ？」
Aは高すぎ、という言葉からあることを思い出す。
それは先程土方との会話で出てきた人物の名前。
『このあたりに高杉っていう危ない人が潜んでるらしいので』
「…………ククッ、ご忠告ありがとな。お前もその【高杉】に会わないよう気をつけて帰りな」
『はい。またご注文お待ちしてます。あとこの貰いすぎたお金は預かっておくので、今度お店に食べにきてくださいね』
「俺が行っても構わねぇのか？」
『お客さんとしてなら歓迎しますよ？』
Aの返答に男性は面白そうに口元に笑みを浮かべる。
「お前、名前は？」
『A、です』
「A……な。またな、A」
Aの名を知った男性は口元に更に弧を描くと、暗闇に姿を消した。
『……変なお兄さん』
配達も無事済んだことだし戻ろう。Aは佐藤の店に戻るのだが、先程会った男性が土方の言っていた【高杉】だということを、ツイステッドワンダーランドに戻る直前まで知らなかった。
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ここ(プロフ) - れいなそんさん» れいなそんさん、コメントありがとうございます^ ^更新が不定期で申し訳ありません…！本日更新いたしましたので楽しんでいただけると嬉しいです。 (2021年6月20日 9時) (
レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
れいなそん - ｱｯ神作やぁ…一体誰が呼んだんだろ…続きが気になるんじゃ (2021年6月20日 8時) (レス) id: 509e7f7d74 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - RENKAさん» RENKAさん、面白いと言ってくださりありがとうございます。一体誰が呼んだんでしょうか…？次の更新をお楽しみにです^ ^ (2021年5月7日 7時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - めっちゃ面白いです！一体誰が呼んだんだ？？気になる…！！ (2021年5月6日 23時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 雪見大福さん» 雪見大福さんコメントありがとうございます！さてさて、一体誰でしょうね？？^ ^ (2021年5月4日 8時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ここ
| 作成日時：2020年12月17日 13時
