【歌い手】出会いは偶然…だったよね？【浦島坂田船】

【24】うらたぬきside ページ33

し｢…大丈夫。迷惑なんて1ミリも思わねぇから。｣

さ｢涼太くんの言う通り。心配する必要ないよ？だから俺らのこと信じて？｣


三人もAの様子から察したんだろう。
今までに見たことないような優しい顔でAに声をかける。あんな顔、初めて見たな…。


『……うん、分かった。』

セ｢ん。それじゃ、連絡先交換しよっか。AのQRコード読み込むから表示してくれる？｣

『あ、ちょっと待ってね。』

し｢ちょっと、千歳さん。抜けがけすんなや。｣

さ｢ずるいで！｣

セ｢こういうのは早いもん勝ちや。｣

『ちゃ、ちゃんと皆もお友達追加するから…』


ブーイングを飛ばすまーしぃと坂田にドヤ顔をかますセンラ。何してんだこいつら。
そんな三人を見て慌てるA。


う｢誰からでもいいから、早くしろよ。終電まで時間はあるけど、遅い時間であることに変わりはないからな。早く食い終わって、Aを駅まで送るぞ。｣

し｢あ〜…せやな。俺らはいいけど、Aは家に帰らないと行けんもんな。｣

『あ、ありがとう。ごめんね？』

さ｢気にせんでええよ。どの道俺らも新幹線に乗らないけんからな。｣

セ｢そのついでやから、謝る必要ないで。｣

『うんっ…！』


嬉しそうに笑うA。
その笑みは幼く、先程の照れ顔とはまた別の可愛さがあった。
思わず見とれていると、｢次、渉さんやで｣とまーしぃから連絡交換を促される。
慌ててAのスマホを受け取りQRコードを読み込むと、俺のスマホにAの名前が表示されて嬉しくなった。

その後すぐにL○NEのグループを作り、ラーメンを食い終わると、会計をすませ店を出た。
会計の時にAは自分の分は出すって言ったけど、｢大丈夫だから｣って言うと、渋々ではあるが直ぐに引き下がった。
初めの頃に比べて遠慮しなくなったな。嬉しい変化だ。
こいつは遠慮しすぎだから、このくらいが丁度いい。


駅までの道では、他愛のない会話をした。
笑ったり、ふざけたり…いつも通りの会話には、いつもとは違いAが増え、更に楽しく感じた。
どこかで、この時間が終わらないで欲しいと思っている自分に気が付きながら、駅に続く道を歩み続けた。

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