【歌い手】出会いは偶然…だったよね？【浦島坂田船】

【21】坂田side ページ30

多分やけど、Aちゃんは甘えるのが苦手なんだと思う。
甘えて我儘を言うと迷惑になるって思ってるんやないかな？

別に甘えてええのに…。
俺なんかうらたさん達に甘えてばっかりや。
もちろん、やりすぎんようには気をつけているけど。


う｢お、ここじゃね？ラーメン屋。｣


ボーっとしているといつの間にか着いたらしい。

入ってみると仕事帰りだろうか、スーツを着た大人達で賑わっていた。
若い女性がいないことを見るとcrewはいないみたいだ。
あれか。地元の人だけが知る穴場ってやつやな。

奥のテーブルが空いていたのでそこに座り、注文する。
まぁやはりというべきか、全員豚骨ラーメンやったけど。


し｢あ、そういやA。ライブって誰のライブに行ってたん？｣


突然思い出したようにAに質問を投げかける志麻くん。
ん？なんでそんなこと聞くん？
あ、そっか。Aちゃんは俺達が浦島坂田船だって気づいてないもんな。


『えっと、浦島坂田船っていう歌い手グループなんですけど…。』


｢分かりますかね…？｣と少し躊躇いながら答えるAちゃん。
メジャーデビューしたとはいえ世間的にはまだまだ知られてないからなぁ。


セ｢あ〜…一応って感じかな？確か今年、メジャーデビューしてたよな？｣

『あ、はい。そのグループです。』

セ｢グループってことは、その中で一番好きな人とかおるん？｣


とんでもない質問をするセンラ。
バッと思わずセンラに目を向けるが、当の本人は何事もないようにニコニコとしている。

確かに気になるけど！気になるけども！
普通、聞くか！？

うらたさんと志麻くんを見ると、俺と同じで気になるのかソワソワしている。


『その、私メンバー全員が好きで…』

さ｢箱推しってこと？｣

『そうなりますね。皆さんとても素敵で誰か一人って決めることが出来ないんです…』


『優柔不断なのは分かっているんですけどね…』と呟きながら、Aちゃんは苦笑いを浮かべる。


そっか、箱推しか。坂田家ではないんやな…。
少しショックやけど、もしこたぬきや志麻リス、センラーだったら勝ち目ないもんな。
それを考えたらまだ良かったんかな…。

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