【銀魂】愛され少女は最強だった！？

34* ジミーに会いました ページ35

たたたっ……


「わっ！？」

？「うわぁ！」


どん、と今朝のデジャブみたいな事を、屯所の曲がり角で起こすA。

今朝と違うのは、倒れたのは相手ではなく彼女だという事。
……そして更に違うのは、倒れそうになったAの腕を、相手が引っ張ってくれたという事。


？「あ、あの…大丈夫ですか？」

「えっ、あ……おかげさまで！」

？「あ、貴方…この前沖田隊長と手合わせしてた人ですよね？」

「なんで知ってるんですか？」

？「えっ…あ、その、いや……変な意味じゃないんです、職業柄監視してしまうというか、…その、」


腕を掴んだままあたふたとするその男。……今まで見てきた男性陣の中では新八といい勝負だ。

……しかし、やはりこの男の事を彼女は知っているようで。
会えた事が嬉しいのかキラキラした目で彼を見ていた。


「…あ、その…腕」

？「腕？ ……、ぁ。あああぁあ！ す、すいません！」

「いいんです！ 助けてくれてありがとうございました！
私は沖田Aです！」

？「あ、ぼ、僕は山崎です！ 山崎退です！」


自己紹介されなくても、彼女は無論知っているがあえて初めて知ったような顔をしてみる。
そして、彼には魔法が使える事を言っていないので敬語でいこうとしている模様。


「退くん……よろしくお願いします！」

山「はいっよろしく……え、い、今さがる、って」

「……ダメでしたか？」

山「いや、あの！ いっいいんです、全然！」


慌ただしく腕をばたばたさせる山崎に、変わらないなと微笑ましく思いながら彼女が笑った。

優しげに笑った彼女に、山崎の顔がどくりと熱を持って。


山「あ、あの……Aさん、って、呼んでも……」

「はいっ、全然いいです……んぐ、」



土「だめだ」



突如喋られなくなったA。
……否、喋るのを遮られた、が正しい。

彼女の顎から鼻まで覆い尽くすほど大きな掌。
直後、真後ろから惹きつけるような低い声が放たれる。



山「ひっ……ふ、ふくちょう……」

土「山崎テメェ、屯所でイチャイチャするとはいい度胸じゃねェか

切腹な」


山「ひぃい！ ご慈悲を副長！！」


土「Aちょっと来い」


「え、あ、……退くん、また！」


山「……っは、はいっ」



ぐいぐいと鬼の副長に腕を引っ張られて、Aは振り返って山崎にひらひらと手を振った。

それには、山崎が真っ赤にさせてお辞儀して。


土方は何だか、不服そうである。

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