【銀魂】愛され少女は最強だった！？

33* 不機嫌になりました ページ34

「そーうーごぉー」

土「何だ、お前か」

「十四郎さん！」

土「……っ、オウ」


屯所の門から大声で沖田を呼ぶ声。
それに反応したのは、丁度奥の廊下から出て来た土方だった。

嬉しそうに土方を呼んでみたが、彼には少々ダメージが大きかったようだ。


「総悟居ますか？」

土「あぁ、総悟なら……」

沖「屯所の中でイチャイチャする事なかれって、局中法度に書いてあったの忘れやしたかィ土方さん？」

「…ひゃ！」

土「そんな条例はねェよ。ボケ」


不意に彼女の首に誰かが腕を回す。
……と同時に聞こえた気だるげな声で、相手は総悟だと気付いた。


「総悟！ 探してたんだ、お話したくて」

沖「いいですぜ、俺の部屋に来なせェ」

土「おい総悟、仕事は、」

沖「後でしまさァ」


彼女の肩に手を回して自室に歩いて行く総悟。
煙草を外してそれを妨害した土方だったが、自慢気に振り返った総悟の顔を見て舌打ちをした。


沖「団子でいいですかィ？」

「あ！ あのね、その事で話があるの」

沖「団子で？」

「総悟、団子屋の小春ちゃんって知ってる？」

沖「団子屋の小春…ああ、あの小さくて色の白い…」

「そう！ 可愛いよね！」

沖「……なにが言いてェ」


早速、彼女が言いたい事を察した沖田が低い声で唸る。
それに気付かず、Aが嬉しそうに話すので、彼女に気付かれないようにじりじりと滲み寄っていった。


「あの子ね、今日出会ったんだけど凄く可愛い子で…総悟の事素敵な人だって言ってたよ」

沖「それで？」

「それでって、……――ぇ、」



こつん、



いつの間にか、額同士がくっつく程近付いていた２人。

彼女が顔を上げると至近距離にあった端正な顔立ちに、慌ててAが身体を後退させる。



沖「逃げんな」


「っひゃ…！」


すかさず彼女の腕をぐい、と引っ張って、空いた手はその腰に回す。

がっちりと沖田に押さえ込まれたAは、なす術もなく。
近い顔に目も合わせられず、赤くなって俯いた。



沖「今は、小春とやらより……もっと興味引く女がいるんでさァ」


「……それって、……だれ？」


沖「知りてェんですかィ…？」

「……っ」


ゆっくりと近付く沖田の顔。
耐えきれなくなって目を閉じると、後に、ふっと笑い声が聞こえた。



沖「――キス。されると思ったかィ？」


「……っ思ってないし！」


くつくつと笑う沖田にしてやられ、彼女は顔を赤くさせて部屋を出て行ってしまった。



沖「――…あーー、あぶねー」

34* ジミーに会いました→←32* お友達が出来ました

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す