【銀魂】愛され少女は最強だった！？

12* 苗字をもらいます ページ13

「えっ、ちょ…なに？」

沖「舌噛みたくなけりゃ黙ってろィ」

土「オイ総悟…」

沖「医務室行ってくらァ」


突然の事に驚いて、彼女の涙が止まる。
土方が慌てて止めようとすると、肩を掴まれ。
見ると、微笑ましい顔した近藤だった。

そしてそのまま、沖田はAを抱きかかえて
曲がり角に消えた。


＊


沖「…痛くねェか？」

「痛いです」

沖「…チッ」

「嘘、ごめんなさい痛くないです」


医務室に着いて椅子に降ろされたA。
しばらく痛みに耐えじっとしていると
沖田が包帯と軟膏を持って彼女の手当てをした。


沖「…その…わる、かったな」

「！」

沖「抜くつもりは無かったんでィ
けど、てめェが…って、こりゃ言い訳だ」

「…ふふ、手当してくれたのでいいです」

沖「…そうかよ」


あの沖田が、彼女に謝っている。
原作では見れない顔に、Aも自然と笑っていた


「けど、私もさっきはごめんなさい」

沖「あ？」

「剣を、足で、止めちゃって…汚しました」

沖「あー、そんな事かィ
……足なんざより、もっと酷いモンを斬ってきたんだ
気にしてねェ」

「……そう、ですか」


沖田が、途端に無表情になって遠くを見る。
その顔はAの心を苦しくした。

何も返せずにぽつり、それだけ言えば
何故か沖田が舌打ちをして。


沖「気に食わねェ」

「え？」

沖「てめェ、さっきはベラベラ言ってたくせに
何俺に改まってんでィ」


……どうやら、 敬語を外せと言ってるらしく
意味が分かって、Aが笑顔になった。


「…うん！ よろしく、総悟！」

沖「…！」

「……あ、ごめ、……沖田くん」


つい、いつもの癖で呼んでしまうと
見開かれた沖田の目。
慌てて呼び直すと、沖田がいや、と遮った。


沖「そのままでいい」

「え、」

沖「総悟でいいっつってんだろィ」

「…！ うん」

沖「……

ところで、てめェの名前を聞いてなかったな」


彼女の笑顔を見て、つられて笑った。
医務室を出て戻りながら、沖田がふと聞いた。


「Aだよ」

沖「…苗字はねェのか？」

「……！」


そういや無いなと気付けば、沖田が黙って。

思わずAも黙ってしまうと
突然、沖田が立ち止まった。


沖「……それなら

俺の姓をやらァ」

「え？」

沖「沖田を、やる」


突然そう言われたA。

最初はいきなりの事に訳が分からなかったが
みるみる笑顔になっていって。



「……ありがとうっ！」

沖「っ！」


思わず、沖田に抱きついたのだった。

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