3両目、出発進行。 ページ3
「……月島くん、凄い量だよね」
化学の実験中に隣に座った女の子、山井さんから声をかけられた。
量？……あぁ、あの袋の山か。
「ツッキーは毎年そうなんだよね、中学とかも大変だったよ」
「ウチの中学バレンタイン禁止だったから、バレンタインで彼処まで山積みになる人初めて見たよ…」
「確かに、初めて見たらビックリするよね、俺は慣れちゃったけど」
山井さんと雑談をしながら化学の実験を進めていくと、突然話がお菓子の話に変わった。
「や、山口くん甘いの好き？」
「え？俺？」
ツッキーのことはよく聞かれるけど、俺自身のことはあまり聞かれないので少し新鮮だった。
人並みには好きだよ、と言えば、暫くしてから顔を赤らめて、早口で次の話を振ってきた。
「じゃ、じゃあ月島くんは？！」
……あー、そう言えばこのパターンもあったな。
俺でワンクッション置くタイプの人、中一以来かな、もう皆無遠慮に俺に直球で聞くようになってたし。
少し期待したのが恥ずかしい、何勘違いしてたんだろ、俺。
「ツッキー甘いの好きだよ、でもバレンタインで沢山甘いの貰うから、暫くは嫌になってたりするけどね」
俺にツッキーの好みを聞いてきた子にはこうやって答えてる。
そうすればツッキーの糖分負担を軽減できるし、女の子にとっても『気が利く女の子』としてのアピールが出来て一石二鳥だから。
……でもまぁ、当日に言ったところでもう作ってあるだろうから、変更はできないか。
「そっか、ごめんね、変な話しちゃったよね！忘れて！あ！私がビーカー洗うから！」
まだ赤みが残っている耳が髪の隙間から覗いた。
山井さん、少し意外だなぁ。
こういうの無頓着な人だと思ってた。
……偏見良くない！失礼だな俺！
ごめんなさい、心の中で山井さんに頭を下げた。
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ｎａｎａ(プロフ) - まとめ方がとても上手くて尊敬します！ (2020年2月26日 14時) (
レス) id: 8b7e89d888 (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 山口君の小説有難うございます！とても面白かったです！ (2020年2月20日 20時) (レス) id: 8f3ce9713a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうかな - とっても面白かったです！やっと山口が報われるのを見つけた！ (2020年2月19日 15時) (レス) id: 84f41cfd95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あだしの。
| 作成日時：2020年2月13日 20時
