獣人短編集 (ページ4)

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救われたのは　猫獣人ページ4

人生に疲れた猫獣人のお話

主人公は黒い猫獣人
……………………………………
俺はもう人生に疲れた。
別に追い詰められた訳じゃない。ただ、パッとしない人生に飽きたんだ。
俺はビルの屋上に向かっている。落ちる前に見ると夜景は綺麗なんだろうなあ。そんなくだらない事を考えながら俺は階段を登っていく。さあ扉を開けたら楽になれる、そう思い扉を開けた。
ああ、ついてない。先客がいた。見た感じ犬獣人だ。どうやらそいつも飛び降りようとしているようだ。
それはだめだ。俺はそう思いそいつに話しかけてみた。
「お前は何で飛び降りようとしているんだ？」
するとそいつは
「君なんかに関係ないよ」
小さな声ではあったがそいつはそう言った。
「そんな事は無い。さあ話してごらんよ。」
俺は出来るだけ優しく話しかけてみた。もしもそいつが飛び降りようとしないために。すると
「……もう…もう疲れちゃったんだ。親友に裏切られてお母さん達もいなくなって…。もう嫌なんだ、こんな世界…。」
そいつは前よりも少し大きい声でそう言った。こんな事を聞くと同情などもする奴も居るかもしれない。けれども俺は違う思いだった。
「ふざけるな!! 世の中には家族や親友を失っても生きている奴も居るんだ!! それにお前を産んだ親も悲しむだろ！」
しまった。つい大声で怒鳴ってしまった。するとそいつは
「…有り難うございます。思い直しました。」
そう言ってビルの屋上の端から動きそして帰っていった。
…こんな俺でも獣人一匹救えた。そう思うと。何故か楽になれた。
ああ、もう一回だけ頑張ってみよう。おれはそう思い。ビルの屋上をあとにした。