9話、 ページ10
｢でももう帰ろうかな。伊藤君、じゃあね｣
｢…あぁ、気をつけて帰れよ｣
｢はーい、ありがとー｣
商店街の終わりを目指しながら先程の伊藤君の事を思い出す。
……プレゼント、か。
もし、私が渡すんだったら______…
｢何してんだA｣
｢ひぃやぁあっ？！……か、勝俊…｣
｢そんなに驚くことも無いだろう。どうしたボーッとして｣
考え事をしている所に声をかけられ、大きな声を出してしまった。
そして先日の恋愛話を思い出してしまい、なんとなく気まづくて顔を逸らす。
｢……別に、今日のお夕飯なにかなーって｣
｢飯の事かよ！お前は全く……ん？A、顔赤くないか？｣
｢は、はぁっ？！なってないわよ！｣
｢いや赤いだろ。熱でもあるんじゃねーかお前｣
言いながらおでこにそっと触れてくる勝俊に心拍数は上がり体温は上昇した。
｢……ん、熱いぞお前！早く寝ろ！！｣
｢別に熱なんて無いってば！もう、じゃあね！！｣
お前のせいだ馬鹿！！
そう思いながら赤い顔でズンズンと帰り道を行く。
おでこに触れた大きな手の感触を思い出して一人で悶え、それをかき消すように少し強めに玄関を閉めた。
｢ただいま！！｣
｢おかえり…ってアンタ、顔赤いわよ。熱はかってみなさい｣
熱なんてないよ、そう返したが母の手には既に体温計が。
まぁ計れば平熱って分かってくれるか……
翌日。
｢…ゲホッ｣
昨日体温を測ってみたところ、熱ありました。
そして今朝何故か上がってました。
学校はお休みね〜と母に言われ、自室のベッドで大人しく寝ている。
｢はぁ……今頃皆はお昼休みかな…｣
こんな日に限って学校の購買限定のプリンが食べたい……明日食べよう……
誰も居ない我が家はとても静かで、なんだか少しだけ不安になる。
と、それまで物音一つしなかったのに、階段を上る音が聞こえてきた。
え……泥棒？
怖くなって布団にくるまると、
｢なにしてんだお前｣
と声が聞こえた。
｢……勝俊。なんでいるの｣
｢ん？昨日お前変だったからな。俺の言った通り熱あったろ｣
｢…うるさいすぐ治るし｣
｢お前は昔からそうだな！全く、少しは可愛らしく甘えてみろってんだ。
ほら、お前これ好きだろ｣
ガサ、と音を立てて差し出されたビニール袋。
もぞもぞと起き上がり袋を受け取る。
｢……ゼリー｣
｢風邪ひくとよくこれ食ってたろ｣
｢今日はプリンの気分なんだけど｣
｢あぁ？！いらねーのかよ！！｣
｢うそうそごめんって……ありがと｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒にゃん - 幼馴染み・・・いいですね（ ＾ω＾）！ (2018年12月1日 15時) (
レス) id: 624e52af4e (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち子(プロフ) - 卵さん» 更新を楽しみにして下さっててとっても嬉しいです！自分のペースで頑張っていこうと思います、ありがとうございます！ (2018年11月29日 16時) (レス) id: 8a68cf3e08 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち子(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます！今後の展開は...どうなることやら笑 更新頑張っていきます！ (2018年11月29日 16時) (レス) id: 8a68cf3e08 (このIDを非表示/違反報告)
卵 - この小説が好きでずっと読んでます！次の展開がどうなるのか楽しみにいつも更新されるのを待っています！更新つかれない程度に頑張って下さい！ (2018年11月29日 12時) (レス) id: db533c903d (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最初から読ませていただいてます！今井さんと谷川が好きなので、読んでいてとても楽しいし嬉しいです笑今後の展開も気になります！更新頑張ってくださいね！ (2018年11月28日 23時) (レス) id: a54f0b350e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わらびもち子 | 作成日時：2018年11月17日 12時
