第 陸 幕 ページ4
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ボォオオオオ!!!
けたたましい騒音とともに黒い煙が吐き出される。
風圧ではためく己の髪を直すことを忘れるほどに、ボクはこの大きな黒い塊に目を奪われていた。
『これが“列車”…』
人々を乗せて短時間で次の町まで運ぶことが出来る奇っ怪な乗り物。
見るからに鉄でできていて重そうなのに、
『……本当に動くのか?「動くぞ!!」!!』
後ろからの大きな声に、ほうけていたボクは驚きに肩を揺らした。
振り返ると、今回任務をともにする隊士。
煉獄杏寿郎が立っていた。
大量のお弁当の包みを抱えて。
周りの一般人達が白い目で見ている。
確か、甘露寺も沢山食べていたな…。
相変わらず、師弟ともによく食べるものだ。
呆れた目を向けると、目が合う。眼力強いなぁ。
「すまん!持ってくれ!」
『……はい(なら最初からそんなに買わんでください)』
三分の一を持たされて列車へ乗車する。
車内でも白い目で見られて とっても恥ずかしい。
持ったんだし、一つ貰えないかな……無理だな。
『……情報を整理しま「うまい!うまい!」いや、早いよ!』
いつの間にか、先に席ついた煉獄は弁当を食べ始めていた。
まだ発車してないよ!?早過ぎない!?
「うまい!」
『……』
こうなった彼はなかなか手が付けられないことを知っている。
どこまでも自由人な煉獄にボクは諦め、彼を置いて前の車両へ見回りに出た。
『……(こっちも満席だな)』
今回の任務は、今乗っている無限列車で何人も人が消えるという怪異を解決することだ。
この列車に入ってから感じている違和感。
これは鬼が、特に血の濃い鬼がいるときにより強く感じるもの。まぁ直感なのだが……
だからこそ断言できる。
ここに鬼はいると。
ボクは隊服越しに愛刀の柄を撫でる。
...
『(ここは人があまりいないな)』
第一車両まで来たけど特に異常も無かった。
それに、そろそろ食べ終わっているだろうと思い戻ることを決め振り返る。
そこには
「……!」
驚いた表情の車掌がいた。
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