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お館様の名を出され、不死川様の足が止まった。
悲鳴嶼様の言葉は続く。

「お館様の願いを踏みにじる覚悟があるのなら、今すぐこの場を去れ」
緊張感がこの場を支配する。
不死川様も言葉を失い背中の“ 殺 ”が小さく見えた。

「止めはしない。どうしようと、お前の自由だ」
悲鳴嶼様の声は静かだった。それゆえ、なんとも言えぬ凄味がある。
しばらくの間、不死川様は無言で怒りに耐えていたが、やがて乱暴にその場に座り直した。
煉獄様と甘露寺様もひっそりと座った。


「では、冨岡を笑わせる方法を考えよう。だが、私は他者を笑わせるのがあまり得意ではない。なのでどうか、皆の忌憚(きたん)ない意見を聞かせてくれ」
悲鳴嶼様の声色が柔らかくなる。

これ、絶対 お館様の本意を取り違えている。

今まさに始まろうとしている世にも奇妙な会合を前に、ボクと胡蝶様は早くも諦観(ていかん)の境地に至りつつあった。



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【笑わない君へ】後幕→←参



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作者名:タートル | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月11日 20時

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