番外【笑わない君へ】前幕 ページ21
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※原作の小説・片羽の蝶より【笑わない君へ】
それは、ボクが鬼殺隊に入隊し まだ炭治郎と再会していない頃のお話。
...*
「───こりゃあ、どういうことだァァ?
「柱合会議でもねぇのに呼び出しやがってェ。どう落とし前つける気だァ」
落とし前って……
悲鳴嶼様も慣れてるのかサラッと流してるし。流石だなぁ。
斜め前に鎮座する
その大きな体は子どもに怯えられがちだが彼自身は懐の深い優しいお人なのだ。
「私用で集めたわけではない。お館様のご意志だ」
その言葉に不死川様は納得していないものの渋々押し黙った。お館様効果は凄い。
目の端に辺りを見渡す蟲柱・胡蝶しのぶ様の可憐な姿がうつる。
「悲鳴嶼さん。冨岡さんの姿が見えないようですが」
控えめに挙げられた手に柔らかな笑み。コロコロと鈴を転がしたような御声は血生臭いこの鬼殺隊では癒しに等しい。
彼女の言葉にいち早く反応したのは悲鳴嶼様とは違う人。
「見えないようだと?まわりくどい言い方をするな、胡蝶。あの男ならば来ていない。
仮に、奴がこのまま来ないつもりだとしても、俺はまるで驚かない」
蛇柱・
「何せ、あの身勝手極まりない男のことだ。《「勝手にやれ。俺には関係がない」》とでも言い出しかねんからな」
まぁ、彼のネチっこい物言いはいつもの事。
だがしかし、今そんな言い方をすると……
「なんだとォ……あのクソがアァ!」
ほら言わんこっちゃない。火に油注いじゃった。
「不死川さん。今のはあくまで伊黒さんの想像ですから」
胡蝶様、ボクの気持ちを代弁してくれてありがとうございます。
「冨岡には、今から半刻後の時刻を伝えてある」
ようやく悲鳴嶼様が口を開き胡蝶様の問いに答えてくれた。
その答に胡蝶様は頸を傾げる。
「どういうことですか?悲鳴嶼さん」
「なんだ?その間に欠席裁判でもやろうってのか?」
ややこしい人が絡んできたぞ。
音柱・
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