玖 ページ17
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煉獄side
雪村が刀を構えた瞬間。
彼女の髪が白く染まった。雪のような白。
合間に見える金色の目は月をはめ込んだ様な輝きを魅せている。
目が離せない。
雪村の刀はいつ見ても特注品で刀身に根が張ったような窪みがある。
鍔の上部に剥き出しの刃があり、彼女はそこに親指を添えた。
プツリ…
肉の切れる音。親指から赤い筋が刀身の窪みを通って切っ先へ流れていく。
ポタリ…ポタリ…
滴る音が嫌に大きく聞こえた。
『煉獄さん、そういえば見せていませんでしたね。
見ていてください。
これが、ボク本来の戦い方です』
そう言うや否や、瞬く間に鬼へと接近し斬り込む。
鬼も相当驚いているのだろう後退し彼女の斬撃をギリギリ避けている。
あれだけの強さを持つ鬼が防戦一方とは……
これが、本来の彼女なのか。
少しだけ、背筋が凍った。
煉獄side 終
「なんなんだお前はぁ！？」
後ろに避ける鬼を追撃していく。
『何って…鬼だよさっき言ったじゃないか』
それにしても、よくこの状態のボクの攻撃を避けている。
「お前の血は嫌な感じがする！」
『へぇ、凄いね。上弦はそんなことも解るんだ』
素直に感心するよ。
「コイツｯ(明らかにさっきと纏う空気が違う。
俺が圧されている？あの方と違う鬼？
こいつは異質だ！イカれている！お伝えせねば！)」
鬼はボクの頸めがけて反撃してきた。
体を逸らして避けるも肩が斬られ鮮血が飛ぶ。
鬼はボクから距離を取ってこちらを見定めている。
「雪村！！」「姉さん！！」
『大丈ー夫』
危ない危ない。頸を斬られていたら死ぬところだった。
出血は瞬く間に止まり傷も再生する。
鬼はその光景に目を見開いていた。
そして、酷く怯えている。
『そっか、ボクの血が怖いんだったな』
「怖くなどない！」
『同じことだよ……ｯ(いけない。血を流し過ぎた。早く終わらせないと)』
この状態の内に。
次の一手に構えたボクの肩に
「交代だ」
『……煉獄さん』
止めるように手が乗った。
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