【笑わない君へ】後幕 ページ26
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『胡蝶様、ボクもう帰っちゃダメですか?
「私を置いて行く気ですか?」 ……スミマセン』
笑顔の凄味は怖いです。ボクの裾掴んで可愛いとか思ってないからね!(遠い目)
「やった!勝ったわ!」
嬉しさに飛び跳ねる甘露寺様は可愛い。
あれれ?時透くんの腕、変な方向に曲がってません?震えてません?
「ハンッ、当然だろォ」
「チッ、甘露寺が勝って俺が負けるとは」
はい。こっちは通常運転ですね。
「悲鳴嶼の旦那ぁ、ド派手に強すぎるぜぇ」
「仕方なしとはいえ、勝負で手を抜きたくはない」
見てるこっちは固唾を呑んで見ていましたよ。見応えありました。
何をやっているかと言うと、所謂 腕相撲というやつ。
提案者は宇髄様で、大方、冨岡様を勝たせて良い気分にさせるつもりなのだろう。
本気でする訳でもないし然程悪い案ではない。むしろ、ド派手を信条とする宇髄様にしては至極常識的な良策といえる。
因みにボクは煉獄さんに秒で負けました。
「失礼する」
丁度いい具合に登場した冨岡義勇様に、宇髄様は先程叩きつけられた右手をひらひらと振りながら近寄った。
「悲鳴嶼の旦那が強くてさ。お前、ド派手に挑戦してみろよ」
提案者として先陣を切ったのか。さすが祭りの神様。
「……俺はこれで、失礼する」
順応出来ないとみて踵を返した冨岡様の肩をすかさず掴み逃亡を阻止した。胡蝶様もさりげなく裾口掴んでますね。
「相変わらずですねぇ、冨岡さん。柱同士の親睦。深めるのも重要なことですよ」
「では何故 雪村がここにいる」
『あ、自分は皆様のお茶をお持ちしただけですので』
寧ろ空気だと思ってください。
笑顔で言ってみたけど納得いかないって顔をされた。たぶん。
まぁ、時透くんがボクの膝の上に頭乗せてるから信じられませんよね。分かります。
「……親睦はお前たちで勝手に深めろ。俺には関係ない」
「ここで帰っちゃうと、冨岡義勇は悲鳴嶼行冥に恐れをなして、尻尾巻いて逃げ帰ったって言われちゃいますよ?
それでもいいんですか?」
胡蝶様ー!それ煽ってますよ!
なんでいつも冨岡様には強気なんですか!?
彼の負けず嫌いな性格を逆手にとった思惑なのか、冨岡様の眉は微かに曇った。
「さあさあ。頑張ってください、冨岡さん。応援してますよ」
胡蝶様はにっこり微笑み彼の背中をグイグイ押した。悲鳴嶼様と対面するために。
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