最近の私 ページ8
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母が退院した後も事故に見せかけた呪いの襲撃が度々あった。
けれど、玉犬の探知能力と父さんの物理の護りでことごとく撃退。
私も体術を教えてもらいながら前の記憶を頼りに術式の訓練も重ねていった。
あれから3年、私は2度目となる小学校に通いながら家族としての“普通”を過ごしていた。
『みーつーけーたー！』
「げっ」
最近、放浪することが多くなったコイツを
探知訓練の要領でよく探すようになった。
呪力を辿れればまだ簡単なんだけど彼にはそれが無い。
そのため本当に匂いを玉犬に覚えさせて探すのだ。
『やっぱりここにいた』
「……オマエどうやってここ入った」
ここ競馬場だぞ？
てか学校は？
目の前に父の呆れた顔。
私もきっと同じ表情をしているだろう。
『入るだけなら年関係ないし』
学校は今日午前だけ。
言ってあるよね？
「マジか」
『マジ』
本当だ。
馬券を買うってなるといろいろややこしいけど場所に入るだけなら赤ん坊からでも可能である。
母は今日弟を連れて定期検診のため家にはいない。
玉犬 黒も同行させているので何かあったら対処出来る。
お昼は父と、の予定だったんだけど。
「ぁー」
思い出したのか 父は頭をボリボリかきながら気まずそうに目を逸らした。
『お腹空いた』
「わぁーったよ」
何食うかな。
立ち上がった父は玉犬 白の頭を撫でたあと同じ要領で私の頭も撫でた。
私は犬か。
ふと、父の目線が私の後方へ向いたかと思ったら
「急にいなくなったと思ったら何してんだよ」
声をかけられる。
この声、昨日の電話で聞いたことがあるような。
「………金を増やしてんのさ」
気だるげに答えた父は面倒くさそうに目を細めた。
振り返るとスーツを着た背の高い男性が。
一瞬 ヤのつく堅気じゃないあの職業の人かと思ったことは黙っておこう。
父は私に「オマエ、1人で食べてこい」と諭吉さんのプリントされた紙を渡してきた。
子どもに持たせる額じゃないよね。
『晩御飯には帰ってきてね』
去りゆく父の背中に向けて言うと後ろ手をヒラヒラと振っていた。
ここで無理矢理でも引き留めるべきだったと、後になって酷く後悔することとなる。
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