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「岩本くんだ、やば…」
え、待って。
まさか此処は稽古場では?
「取りに降りるから、ちょっと待ってて」
うん、と頷いた私を確認すると風のようにシュンと居なくなって、後に残った岩本くんは大ちゃんの消えた方から視線を私に戻してぺこりと頭を下げてくれた。
「うわ、これでアイドル見たの3人目だわ」
しかも全員Snow Man。
「Aねぇ、ごめんね!」
手を合わせながら玄関口から出てきた大ちゃんは、私の手首を掴むと路地に入った。
「誰かに見られると困るから」 だそうで、なるほどアイドルと会う時はこういう事も気をつけなきゃいけないのね、と頷く。
「はい、これ」
「本当にありがとう! これ先輩からもらったもんだったから無い時は焦ったぁ!」
眉を下げて笑いながら、ブレスレットを右腕に嵌める。
何度もお礼を言うから大したことしてないよって。
「俺ね、明後日から京都に行くから暫く遊べないと思うんだ」
「そうなんだ? 」
「うん、だからね、この後遊ぼ?」
「は? このあと?」
「もうすぐ稽古終わるから、えっと…あそこの喫茶店で待ってて!」
道路の反対側にあるこじんまりした喫茶店を指して、「30分くらい待っててね」 とほぼ強制的に待つことが決まった。
特に予定があるわけでもないけど、大ちゃん少し強引じゃないかな?
でも断る気はなくて笑顔で戻っていった大ちゃんの背中を見送ってから、こじんまりとした喫茶店へ向かった。
コーヒーを一口味わって、窓に頭を預けて目を閉じると、思い出したのは昔の私たちのこと。
『 うわぁぁぁ!』
学校からの帰り道、だいたいいつも泣きだす大ちゃん。
どうしたの? と聞いてあげると、グズグズと鼻を啜りながら今日の出来事を話すの。
この日は運動会の練習で上手くできなくて、練習が嫌で仕方ないって泣いてた。
『 そんなに嫌なの?』
『 やだっ、走っても絶対ビリだもん!』
『 うーん、ビリでもいいじゃん。頑張って最後まで走るのが良いんだよ?』
『 …でも、ダサいった笑われた』
『 そんなの笑わせときな!私は絶対笑わないし、全力で応援するから!!』
『 ……ほんと?』
ふふ、あの頃からお願いごとや質問をする時は必ずきゅるるん目になるんだよね。
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ゆきんこ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、コメントありがとうございます!こちらにコメント頂くのは結構久しぶりなので嬉しかったです!Twitterも是非お越しください(^^) (2021年2月10日 9時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 楽しく読ませて頂きました!素敵な佐久間さんに癒されました!Twitterもリクエストさせて頂きました…!今後も応援しています! (2021年2月9日 23時) (レス) id: 0de26007c0 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - ゆきちょなさん» コメントありがとうございます(^^)キュンキュン超えてギュンギュン!!新しい(笑)更に超えてもらえるような作品作り頑張ります!! (2020年7月20日 19時) (レス) id: 28b6095af7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきちょな(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!もうキュンキュン超えてギュンギュンですね(*´ω`*)次回も更新楽しみにしています! (2020年7月19日 23時) (レス) id: def4041367 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - さっくりさとこさん» ありがとうございます!きゅるるんな佐久間さん可愛いですよね(^^)こちらの佐久間さんは年上お姉さまを手玉にとる方なので、可愛さ炸裂させる予定です!頑張ります!! (2020年7月19日 19時) (レス) id: 28b6095af7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年7月10日 15時