君と、恋の話がしたい。 (ページ27)

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紫「....なんて、ね」

海「えっ」

紫「俺もう行くから。もう少しだけ側にいてやってくれん？」

海「えっ、と...」

紫「じゃあね」

平野先輩がひらひらと手を振って保健室から出て行く。俺はその場所でただ呆然としていた。

嘘、だったのか。

それはそうだろう。死ぬだなんて。
そんなことあるわけがない。....あるわけがないと考えれば考える程頭の中には疑問が浮かぶ。
元を辿ればまず彼女と平野先輩の繋がりが不可解である。
それに平野先輩はどうして嘘をついた？身の程もわからない俺なんかに。いや、平野先輩は俺の事を知っていたんだ。どこまでかは知らないけど少なくとも俺が彼女のクラスメイトだということくらいは。
態々、嘘をつく理由がわからない。

やっぱりそれが、全部本当だとしたら。
一度声をかけたくらいでは気づかない程の身体の傷みだって、彼女が球技大会を見学していたあの日にだって、穏やかにしているようで時折みせる平野先輩のあの哀感した表情にだって全部理由がつく。

だけど、やっぱり。
それをひたすら繰り返す。
彼女の事で頭がいっぱいになった。
初めてといってもいい。
自分以外の誰かの事をこんなに考えてしまうなんて。

「...高橋くん？」

ベットから身を持ち上げるその様子だって、意識をすればするほど痛々しく思ってしまうのだ。

海「...成瀬さん、先生は」

「あれ、さっきまでいたんだけど。」

なるべく平静を装って当たり障りのない話をしてその場を乗り切る。そうしようと決めた。決めたはずだった。

「あれ、紫耀くんもここに居なかった？」

だけどやっぱり、さっきのそれを全部意識の内から外すなんて不可能だった。
それに俺はとんでもなく下手くそだった。

海「.....ねえ、君は何かの病気なの」

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