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それから俺と彼女は友達程度の関係になる。
別に仲良く話したりだとかそんなことはない。
変わった所といえば朝の挨拶くらいだろう。
友達、といえるのかは否かだがこの間彼女がそう言っていたから俺もそうゆう事にしている。
恋愛感情なんてものは多分ない。
ただ、少し目が合うとそらしてしまいたくなるくらいには彼女の事を意識はしていた。
理由はわからないのだけれど気づけば自然と目で追ってしまう。
海「さぼり?」
「お、高橋くん」
球技大会があった。
女子はソフトボールだろうか。男子はサッカーだった。
彼女が校庭の端っこで一人座っているのを見つけた。見学といったってこれほど真面目に見学する奴を俺は初めてみた。それがまた様になるのが彼女だ。隙を見て声をかけた。
海「何、どっか怪我してんの」
「うん。あっ!」
彼女が指差した方向に勢いがいいボールとこれまたサッカーをする姿がひどく様になる永瀬廉。
「今のすごいね」
海「ぜんぜんみてなかった」
「あっちにパスするのかなあって思ったら
ビュンって方向転換してシュートした!それで決めた!」
海「...へー。」
何、わかりやすく傷ついたんだよ俺は。
この前から俺はおかしい。彼女に翻弄されすぎてないか?そもそもそれがわかっていながら、どうして自ら関わりを持とうとしているんだ。
「いいなーサッカー。」
海「サッカー好きなの?」
「えっとね、運動が好き。」
海「そうなんだ、じゃあ今日はつまんないね見学。」
「うん、でもいいの。勉強も好きだから」
海「?」
その意味がよくわからなくて、もう一度彼女に聞こうとしたら彼女の視線はもう次のところへ向けられていた。
熱を帯びたような、そしてどことなく切なそうな彼女のその視線を辿った。
海「平野先輩」
「えっ」
海「今みてたから」
平野紫耀。
1年の俺の耳にさえ入ってくるその名前。
女子達に取り囲まれタオルやらドリンクやらを無理やり渡されている平野先輩が彼女の視線の先にいた。
「知ってるんだ、紫耀くんのこと」
海「...すごい人気で有名だからね」
「じゃあ特別に自慢しちゃおう。
前言ってた私の友達、あの人。」
まずどこから整理をすればいいのか。
それがわからずに困っていると彼女がもう一度口を開く。
「誰にも秘密ね」
そう言ってまたすぐに彼女の視線は俺たちのクラスのサッカーの試合に向けられていた。
勢いよく放たれたシュートが今度は俺にもきちんと見えた。
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作者名:ふる | 作者ホームページ:http://twitter.com/ei_njo
作成日時:2017年10月7日 15時