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『やっぱすげぇな海人！超有名進学校！』
冬になって俺の受験が終わった。
両親には前々から公立の高校に行きたいと言っていた。
中高と私立に通った姉がいるからか俺の母親は俺が気を使っているのでないかと心配した。だけどそこは誤魔化した。校則が緩くて、変に着飾らない学校に行きたいだけと常日頃そう言っていた。
受験に失敗した。
世間一般論で言えばきっと成功なのかもしれない。
だけど俺にとったら失敗だ。
第一志望の公立高校に落ちた。
どうしてもここがいいとかそんな愛着もなかったものの俺は悔やみに悔やんだ。
俺の受かった学校が超有名進学校だとして、私立だ。お金がかかる。
やれるだけのことはやってきたはずだ。
周りの奴らより圧倒的に勉強してきた。
誰よりも努力をしたのにそれが認められなかった。
俺の形としては。
母親は俺に「よく頑張ったじゃない」と言った。
俺の満足いく結果ではなかったけど母の前ではこれ以上心配をかけられない。
母がそう背中を押してくれるのならその通り、その私立の進学校に通おうと決めた。
父親だってそうだった。
「すごいじゃないか」と褒めてくれた。
......褒めてくれていたはずなのに。
ベットに座り込み肩を落とす。
俺にだって大人の考えがわかる。
父親のあの言葉が嫌味を言っているわけでも落胆しているわけでもないことくらい。
ただ、ずっと公立一本に絞って勉強に励んできた俺を見て僅かな期待をしていたんだろう。
きっと俺の事を姉のような完璧な奴なんだと思い込んでいたのかもしれない。
だから、『私立か』なんてあんな低い声をして言ったのかも知れない。
俺と姉ちゃんは違う。
わかっていたはずなのに、俺が身の程知らずの努力なんてしたから。
期待以上の結果がでなかった息子への父の本音があれだろう。
突然変頭痛がおこり、気持ちが悪くなる。
頭を横にして思いっきり抱え込んだ。
姉ちゃんのピアノの音が脳内に鳴り響く。
止まれと思っても止まらないそれが忽ち俺の視界を真っ暗にする。
怖い、怖い、怖い。
お願いだ、やめてくれ。
これ以上俺を惨めな気持ちにさせないでくれ。
不思議な幻聴だったのかもしれない。
姉のピアノと父の声と母の声が混ざり合って大きくなる。
『パート、増やそうかな』
だけどやっぱり確かに、母の声を聞いたのだ。
途端、涙が止まらなくなった。
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作者名：ふる
| 作者ホームページ：http://twitter.com/ei_njo
作成日時：2017年10月7日 15時
